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<<   作成日時 : 2010/04/06 05:49   >>

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地唄FAN管理人です。

皆様 「葵の上」へのコメント有難うございます。皆さんが「虫の音」に関して各種お話されておられるので、急遽アップすることに致しました。

唄・三弦 井上 道子師
 筝    矢木 敬二師
尺八   山口 五郎師

による演奏です。これも井上 道子師による名演だと思います。
ただし、録音時に若干の音揺れとレベルオーバーが感じられ音質的には今一つですが、それを補って余りある演奏だと思います。




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  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
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虫の音(むしのね)


  思ひにや、焦れてすだく蟲の声々さ夜更けて、
  いとど淋しき野菊にひとり、道は白菊たどりて此処に、

  [合の手]

  誰をまつ蟲亡き面影を、慕ふ心の穂にあらはれて、
  萩よ薄よ寝乱れ髪の、解けてこぼるる涙の露の、

  [合の手]

  かかる思ひをいつさて忘りよ、

  [合の手]

  兎角輪廻の拙きこの身、晴るる間もなき胸の闇、

  [合の手]

  雨の

  [合の手]

  降る夜も降らぬ夜も、通ひ車の夜母に来れど、

  [合の手]

  逢ふて戻れば一夜が千夜、

  [合の手]

  それそれ、それじやまことに、

  [合の手]

  ほんに浮世がままらなば、何を怨みんよしなし言よ、

  [合の手]

  桔梗、刈萱、女郎花。
  我も恋路に名は立ちながら、一人まろ寝の長き夜を、

  [合の手][手事]

  面白や、千草にすだく蟲の音の、
  機織る音のきりはたりてふ、
  きりはたりてふ、つづれさせてふ、きりぎりす、
  ひぐらし、いろいろの色音の中に、
  分きて我が忍ぶ松蟲の声、りんりんりんりんとして、
  夜の声めいめいたり。

  [合の手]

  すはや難波の鐘も明け方の、朝間にも成りぬべし、
  さらばや友人名残の袖を、
  招く尾花もほのかに見えし跡たえて、
  草茫々たる阿倍野の塚に、蟲の音ばかりや残るらん、
  蟲の音ばかりや残るらん。


恋しく思うためか焦がれて集り鳴く虫の声々である。
夜更けて淋しい野菊の咲く野原に一人、白菊のある道は知らないが、たどってここに誰の来るのを待つか松虫は死んだ友の面影を慕う気持ちが外に現れて、萩やススキの穂が乱れ髪と乱れるのである。
その髪が解けて零れる涙の露が降りかかり、こうした思いを何時になったら忘れられようか。忘れられない。
めぐり合わせの悪い我が身ははれる間がなく胸は闇と暗く、雨の降る夜も降らない夜も訪ね来る車は毎夜来るが、逢って戻れば一夜が千夜に思われ、逢わないで戻ればまた更に千夜の思いがする。
これが本当の浮世なのだ。
浮世がもしも思い通りになるならば、何か怨むことがあろうか、つまらない愚痴も聞くことはなかろう。
桔梗・刈萱・女郎花と自分は恋路にうわさされながら、一人でまろ寝をすれば、秋の夜長に千草に集った蟲の音の機を織る音がきりはたりと聞こえ、破れを綴って刺しなさいと鳴いているのである。
ひぐらし・こおろぎといろいろの蟲の音色の中で、とりわけ自分の愛する松虫の声がりんりんりんりんと鳴いて、その夜の声は爽やかにはっきり聞える。
さては難波の鐘が聞えるとなれば、明け方の朝になったのであろう。
それであるから、友人の名残りの袖を招く尾花によって、仄かに見えた亡霊の姿が消えうせてしまい、あとはただ草茫々とした阿倍野の塚ばかりで虫の音ばかりが残るのである。

解説
[調弦]
三絃:三下り
箏:低平調子

[作曲]
藤尾勾当

[作詞]
不詳

[他]
三下り謡物。手事物。『虫づくし』『松虫』とも。
虫の音すだく秋の夜半に、亡き人を慕う空閨の悲しみを歌ったもの。
後歌は謡曲『松虫』のキリの部分の詞章による。
手事は擬音的手法に富み、砧地が合わされる。長歌『秋色種』の「虫の合方」に取り入れられることでも有名。
市浦検校作曲の中空調子の手を合わせるときは特に『中空虫の音』とも称する。
京都の手は浦崎検校門下の吉崎検校作曲。
抱一上人筆『吾妻唄』に収録されており、早い時期から山田流でも行なわれた。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/mushinone.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
ちょうど昨夜、「虫の音」の
話題が出ていましたので、
タイムリーな更新ありがとうございます。
昨夜の話を考えると、
また深読みしたくなりますが、
「桔梗・刈萱・女郎花」これは
普通に考えると秋の七草なんですが、
何か裏の意味もありますかね?

喜音院さんがノリのお話をされていたので、
注意して聴いてみましたが、
なるほど、後唄は雰囲気が違いますね。
さすがに謡物を多く作った藤尾勾当、
そのあたりをうまく活かしていると感じました。
ありす
2010/04/06 06:27
>ありすさん
 「桔梗、刈萱、女郎花」は「園の秋」でも遊女の名前に擬していますから、女性との関係をの匂わせますが、「同性愛」?とあわせて考えると複雑ですね。それとも女性と思わせて男性だとか。うがち過ぎかな?

 同じ、「虫の音」でも大阪、名古屋、九州でこんなに雰囲気が違うものかな、と思いますね。

 九州系の人の演奏は、本当にストレートに、というのは、遊戯的気分より、その曲のドラマに対する真面目さや真剣さを前面に出すように感じますが、他の方はどうお感じになります?「八島」なんかの他の謡い物でもそうなんですが、名古屋系は色っぽいし、大阪系は軽妙に感じるのですよね。
 
喜音院
2010/04/07 16:15
名古屋系は胡弓が入ったりするから、余計そう感じるのかも知れません。

 矢木師なんかは歌も、筝、三弦も随分柔らかいので、九州系の中で、また違うのかな?と思ったりするのですが、でもこの筝は素晴らしいですね。私筝手付けなんかはあまり知らないのですが、三弦の邪魔をせず、それでいて綺麗な音色を聴かせているのですごいな、と感じます。

 「すはや難波の」とか、「八島」の「その舟戦今ははや」と、「葵上」の「妾は蓬生の」あたりが、能の中ノリ(二音一拍)になる所、クセ(?と思うのですが…)とかキリ(最後の部分)は盛り上がる場面なので、そこにくると能のイメージとダブりますね。これは狙ってやってるとしか思えません。手事以外の他の謡い物がどうなっているか知りたい所です。作曲法の共通点が結構見つかるかも知れませんよ。
喜音院
2010/04/07 16:28
言われてみれば、
「虫の音」はたしか、連続アップラッシュの時期で、
聴こうと思いつつ、「新ムス」などに埋もれて聴かずじまいだったように思い、聴きなおしました。
やはりマイナーな曲なので(初心者的にはです)
積極的に聴こうとはなかなか思いませんよね。
「かづき面」とかもそうです。
聴く動機がないといいますか。(汗)

「虫の音」はなんと「八島」の井上さんと「舟の夢」の矢木さんじゃないですか!
さすがの共演ですね。
「八島」とはまた違うドラマがあってすがすがしいですね。「虫の音」だけあって、やっぱり擬音的な技巧などもあるのですね。宮城道雄の「虫の武蔵野」もそうですよね。
手事物ではないのに、これだけ華やかに演奏できるというのはやはり、並大抵のことではないですね。

raimund
2010/08/12 14:11
地唄FAN管理人です。
raimund様 早速コメントしていただき有難うございました。確かにあの当時毎日1曲アップしてましたから、ゆっくり聞いている時間が取れなかったかもしれませんね。(反省・・・)また他の曲も聞いてあげてください。よろしくお願いいたします。
raimund様 早速有難うございました
2010/08/12 17:35
はい、紫雲山です。
まず、歌詞については「草茫々たる」のあとが「阿倍野の塚に」VS「阿倍野の原に」Vs「あしたの原に」とあるようですね。どれも捨てがたい。
物語ですが、大阪天王寺から出ている南海電鉄のたしか三つ目に「松虫」と言う駅(停留所?)があります。学生時代この優雅な名前につられて途中下車して「松虫塚」と言うのを発見、駅名に納得しました。私の聞いた話では、京に鈴虫、松虫という姉妹があって、鈴虫はある男性の寵愛を受けていました。ある日鈴虫は夫(?)の文机の上に「公より」とある手紙を発見、それがいたわられて置いてあったので、姉妹が同じ男性に寵愛されていることを知り、二人で京を捨てました。大阪阿倍野の荒地にたどりついて松虫は死んでしまいます。鈴虫はこれを弔って一生を過ごしたと言うことです。いまは荒野ではなく家が建て込んでいますが、近くには斎場があるほどですから以前はうんと田舎だったのでしょう。
歌詞と物語について
2011/05/22 09:58
地唄FAN管理人です。

紫雲山様 コメントを記載するコツを会得されたようで何よりです。またこの度は良いお話を有難う御座いました。

この「虫の音」と言う曲はあまり最近では演奏されなくなってしまったように思いますが、もっと演じられても良いように思います。聴く側からのリクエストが必要なのかもしれませんね。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。
紫雲山様 コメント有難う御座いました。
2011/05/22 10:29
「虫の音」とてもすてきな曲ですね。練習をするときの参考にしたいのですが、音源を保存することは可能でしょうか?

2012/03/13 10:57
憂様へ

管理人です。コメント、ご要望有難うございました。
音源保存の件ですが、著作権への配慮から音源のダウンロード機能は実装しておりません。申し訳ありませんが、現在の形でのご利用をお願いします。

今後共宜しくお願いします。
憂様へ 申し訳ありません
2012/03/14 10:25
管理人様へ。

やはりそうですよね…。ご返答ありがとうございます。
こちらで何度も聴きこんで練習していきたいと思います。

2012/03/20 09:09
憂様へ

管理人です。
趣旨ご了解頂き、有難うございます。
これからも素晴らしい演奏をアップしていきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

憂様へ ご了解頂き有難うございます。
2012/03/20 20:39
はじめてコメントします。このブログには大変お世話になっております。「虫の音」を練習中で、何度も聞いて井上先生のすばらしい唄を頭に叩き込んでいます。「逢ふて戻れば一夜が千夜、逢わで戻ればまた千夜」では、同じ旋律が繰り返されますが、「逢うて」と「逢わで」では状況が逆なのでそのつもりで唄うようにと私の師匠に教えていただいたのが、この録音を聞いてもなるほどとわかります。
ところで、歌詞が録音と違っているのが気になります。最後は謡曲でもこの録音でも「朝の原に」なっているのに、「阿倍野の塚に」となっています。解説を書かれた方が間違えのでしょうね。
sukehan
2014/12/29 16:23

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