けしの花

地唄FAN管理人です。

raimund様からのご希望もございましたので、今回は けしの花 をアップさせていただきます。
演奏は 唄・三絃 阿部 桂子師、藤井 久仁江師です。
尺八は・・・スミマセン 記録がなく分かりません。都山流の方と思います。
富山師の「けしの花」でなくてスミマセン。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

けしの花(けしのはな)


  手にとりて、見ればうるはし芥子の花、絞りしぼればただならぬ、
  匂ひ香うばし、花びらの、散りにし姿あはれさよ。
  悋気する気も夏の花、雨には脆き風情あり、誰れに気がねを、
  なんにも言はず、ぢつとしている奈良人形。


その女に触れてみれば、誠に麗しいが、可憐ではあるものの色艶はない。しかし、寵愛してみれば見るほど、並々でない芳しさがある。男に手折られた女の姿の、なんとあわれなことか。しかも、その可憐な女には、嫉妬するような気持ちも無くて、さらりとした夏の花の感じは、張り合いがないのだろうが、手折った主には、降る雨に打たれるままに打たれている脆い女心が見える。誰に気兼ねもあるまいものを、これということもしゃべらない、じっとしているところは奈良人形のようだ。

解説
[調弦]
三絃:本調子-二上り
箏:半雲井調子-平調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:松崎検校

[作詞]
三井次郎右衛門高英(後楽園明居)

[他]
京風手事物。
芥子の花によせて恋の思いを歌ったもの。
手事は中チラシの後に後チラシが付く。弾き違いや掛け合いに特色があり、三絃の地は、「拾い地」をつける。



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

秋の曲

地唄FAN管理人です。皆様有難うございます。
秋ですよねぇ。秋なのに「櫻尽し」をアップしたのですが、皆様に温かく迎えていただいて有難うございました。皆様のコメントを見ているうちに、「秋の曲」をアップすることを思いつきました。
演奏者は三品 正保師です。よろしくお願いいたします。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

秋の曲(あきのきょく)


一 きのふこそ 早苗とりしか いつのまに
  稲葉そよびて 秋風のふく

二 久方の 天の河原の 渡守
  君渡りしなば 楫かくしてよ

三 月みれば ちぢいものこそ かなしけれ
  わが身ひとつの 秋にはあらねど

四 山里は 秋こそことに わびしけれ
  鹿の鳴く音に 目をさましつつ

五 散らねども かねてぞ惜しき もみぢ葉は
  今は限りの 色とみつれば

六 秋風の ふきあげにたてる 白菊は
  花かあらぬか 浪のよするか


1.『古今和歌集 秋の部 詠人しらず』
田植えをしたのが、つい昨日のように思っていたのだが、いつの間にかもう稲の穂が秋風にそよぐ季節になってしまった。月日のたつのは本当に早いものだ。

2.『古今和歌集 秋の部 詠人しらず』
天の川の渡し守さん。彦星が渡ってしまったら、舟の棹を隠してくださいね。

3.『古今和歌集 秋の部 大江千里』
秋といものは、わが身ばかりの秋ではなく、だれにも同じように訪れてくるものではあるが、それが月を眺めていると、あれこれと限りなく心細く悲しくなってくるものだ。

4.『古今和歌集 秋の部 壬生忠岺』
山里はいつも寂しくてつらいところだが、とりわけ秋はわびしく、よく鹿の鳴く声に目をさますときがある。

5.『古今和歌集 秋の部 詠人しらず』
散ってはいないが、散らないさきから惜しくてたまらないあの紅葉の葉は、今が最上の美しい色合いだ、これを過ぎると散っていくのだ。

6.『古今和歌集 秋の部 菅原道真』
秋風が吹いている吹上の浜に吹いている白菊は、真白な花であるのか、いやいやそうではなく、浜辺に打ちよせる白波であるのか。

解説
[調弦]
古今調子

[作曲]
吉沢検校
箏替手と手事:松坂春栄

[作詞]
古今和歌集 秋の部 より

[他]
新組歌。古今組の一つ。
初秋から晩秋にかけて六歌に配列して組歌としたもの。必ずしも古典的な組歌の形式に従わない。松坂春栄によって替手と手事が補作されて以来、手事物箏曲として有名になった。
第四歌の後、合の手を導入するマクラ・手事二段・チラシ。チラシから後に替手が入る。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/aki.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

櫻尽し

地唄FAN管理人です。皆様如何お過ごしでしょうか?
いかにも秋らしい爽やかな天気ですねぇ。
本日は萩原 正吟師演奏による「櫻尽し」をアップ致します。歌は冒頭が萩原 正吟師、途中で大村尚子師が引き継がれます。
秋に櫻ではちょっと季節感がおかしいですが、ご容赦下さい。

今回もありす様から曲に関する情報をご提供頂きアップすることが出来ました。誠に有り難うございます。それでは皆様お楽しみ下さい。
唄・箏 萩原 正吟師
唄・三絃 大村 尚子師
による演奏です。


16AB05


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
飽(あ)かでのみ、花に心を尽くす身の、
思ひあまりに手を折りて、数ふる花の品々に、
わきて楊貴妃(ようきひ)、伊勢(いせ)小町(こまち)、
誰(た)が小桜(こざくら)や児桜(ちござくら)、
「桃の媚びある姥桜(うばざくら)」※1、
われや恋(こ)ふらし面影の、
花の姿をさきだてて、幾重分けこしみ吉野の、 

雲井に咲ける山桜(やまざくら)霞の間(ま)よりほのかにも、
見初めし色の初桜(はつざくら)絶えぬながめは九重の、 
都帰りの花はあれども、
馴れし東(あづま)の江戸桜(えどざくら)、
名に奥州の花には誰も、憂き身を焦がす塩釜桜(しおがまざくら)、
花の振袖八重(やえ)一重()、下には無垢の緋桜(ひざくら)や、
樺(かば)に浅黄(あさぎ)をこきまぜて、
わけよき縫ひの糸桜(いとざくら)、引く手あまたの身なりとも、
せめて一夜のたはふれに、酔ひをすすめや熊谷(くまがい)や、
猛(たけ)き心の虎の尾よ、千里も通ふ恋の道、
忍ぶにつらき有明桜(ありあけざくら)、君が情けの薄桜(うすざくら)、
よしや思ひを桐が谷(きりがやつ)、浮き世を捨てし墨染桜(すみぞめざくら)、
昔をしのぶ家桜(いえざくら)、花の扉(とぼそ)もさびしきに、
月の影さへ遅桜(おそざくら)、 

闇はあやなし紅梅桜(こうばいざくら)、色こそ見えね折る袖の、
匂ひ桜(にほいざくら)や菊桜(きくざくら)、
花のしら露春ごとに、打ちはらふにも千代は経ぬべし。

※1
『糸の節』『千重の一重』・・・・・・・→「桃の媚びある姥桜」
『古今端歌大全』(正徳頃刊)では→「年は若かる姥桜」
『糸の調べ』『歌曲時習考』・・・・・・→「年も若きの姥桜」

[調弦]
三絃:本調子-二上り-三下り

[作曲] 佐山検校
箏手付:八重崎検校

[作詞] 未詳

[初出] 元禄16年(1703)刊『松の葉』第二巻


[他]
本調子長歌物。
長歌物の創始者とされる佐山検校(1666登官、1694没)の長歌の作品で、
「雲井に咲ける山桜」より二上り、
「闇はあやなし紅梅桜」より三下り。
各地の有名な桜を連ねただけの詞章で、物尽くしの代表ともいえ、
また、長歌物の成立を示唆する歌詞形式であるが、作詞者は未詳である。
三絃譜は享保17年(1732)刊の『律呂三十六声麓の塵』に収録。
箏譜は天保四年(1833)刊の『千重之一重』巻之五(1833)に
八重崎検校手付けのものが収録。
「雲井に咲ける」の二上りに変わるところから、
三味線組歌の「晴嵐」の手が取り入れられていると説明されているが、
「晴嵐」の作曲者は浅利検校(1656登官、1698没)で、
「桜尽くし」と「晴嵐」とどっちが先行するかは、検討を要する。


(邦楽百科事典 音楽之友社から)
元禄年間(1688~1704)、組歌につぐ新しい様式である長歌の成立に貢献した江戸の佐山検校(不明~元禄7(1694))が作曲した物。長歌物に多い<尽し物>で、曲名どおり櫻の花の名を集めて一遍としている。
三味線は本調子で出て、「雲井に咲ける山桜」から二上りとなって、さばけた派手な味でのり、末段「闇はあやなし紅梅櫻」からは三下りで気分を締めて曲を結ぶ。三味線曲として出来た物であるから、箏では弾かれなかったが、のちに、京都の箏手付けの名手 八重崎検校が雲井調子で替手式の手をつけている。それは本調子のところは、三味線の手のままで、二上りから京物ふうにはなやかに編曲されている。なお、二上りからあと、浅利検校作曲の三味線組歌「春嵐」の手が取り入れられている。



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表



皆様如何お過ごしでしょうか? 地唄FAN管理人です。

本日は富山 清琴師の演奏による「翁」をアップさせて頂きます。
この曲には確か藤枝 梅安様からご希望が出ていたと思います。熱中症から回復されましたでしょうか・・・

ありす様から歌詞や情報のご提供をいただき、やっとアップすることが出来ました。誠に有り難いことと感謝しております。それでは皆様お楽しみ下さい。
唄・三絃 富山 清琴師
箏 富山 美恵子師
による演奏です。


21A01

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
とうとうたらりたらりら、
たらりあがりららりとう、
ちりやたらりたりらりら、
たらりあがりららりとう。

所千代までおはしませ、
我らも千秋さふらうや、
鶴と亀との齢にて、
幸ひ心に任せたり。

気味が千歳を経んことを、
天津乙女の羽衣よ、
鳴るは滝の水、鳴るは滝の水、
日は照るとも絶えず、とうたり、
ありうどうどう、
絶えずとうたり、常にとうたり、
総角やとんどうよ、
尋ばかりがとんどうよ、
座してゐたれど、
参らうれぎれやとんどうよ。

千早振る、神のひこさの昔より、
久しかれとぞ祝ひぞや、
およそ千年の鶴は万歳楽を歌うたり、
また万歳の池の亀は、甲に三極備へ、
渚の砂さん策々として、
朝の日の色を朗じ、
滝の水は冷々として、
夜の月、鮮やかに浮かんだり。

[手事]

天下泰平国士安穏、
今日のご祈祷なり、
在原なじょの翁どもよ、
あれはなじょの翁どもよ、
何処の翁はどうどうどう、
そよや千秋万歳、
喜びの舞なれば、
一舞まはうよ万歳楽、
万歳楽、万歳楽を。

[調弦]
三絃:本調子-二上り
箏 :半雲井調子-平調子

[作曲] 峰崎勾当
箏手付:不明

[作詞] 能楽の「翁」の神楽の詞章を取捨

[初出] 寛政8(1796)年刊『鶴の声』

[他]
本調子謡物、手事物。
豊作と繁栄が永久に続くことを祝した祝儀曲。
謡曲にとらわれず、地唄の節付けがなされているが、
祈りの気分を漂わせている。
大阪を代表する位の高い地唄として
「大阪十二曲」の一つに数えられている。
歌いだしの「とうとうたらり」は、
笛や鼓の拍子を擬声化したとか、
笛譜の唱歌が訛ったとか、
チベットの古代語で祝言の時に歌う
陀羅尼歌から来たとか諸説ある。
「この所でいつまでも栄えられませ、
私たちも君にいつまでもお仕え申します」
と歌ったあと、『古今集』賀の在原滋春の
「鶴亀も千歳の後はしらなくに 飽かぬ心に任せはててん」
を引用している。
「総角」は髪を中央で左右に分けて両耳の上で
丸く束ねる少年少女の髪型に由来する雅楽の曲名であるが、
ここでは「翁が座っていては面白くないので、
あなたの所へ行こう」と歌う。
「尋」は両手を広げた長さ。
「万歳楽」は雅楽の曲名。
「三極」は天地人を意味する。
「なじょ」は「どんなふうな」という意味。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


天下太平国土安穏を祈る能の祝言物で神聖視されている「翁」を地歌化した曲。「雪」や「残月」など多くの名曲を残した大阪の代表的作曲家峰崎勾当が天明期(1781~89)に作曲した物。三味線は本調子、手事の途中から二上り。箏は半雲井調子から平調子。短い前弾きがあって「とうとうたらり、たらりらたらり」と荘重にうたわれ、「所千代まで」から伴奏が付く。「夜の月あざやかに浮かんだり」までが前歌。手事となって「天下泰平」から後歌。万歳楽をくりかえして曲を結ぶ。謡曲にとらわれず、地歌の節付けがなされているが、祈りの気分をただよわせている。山田流では河東節のをそのまま移入している。
(邦楽百科事典 音楽之友社より)




「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

出口の柳

皆様 如何お過ごしでしょうか?
地唄FAN管理人です。
本日は 「出口の柳」をアップいたします。演奏は太田 里子師によるものです。





たてまつる(ヨ) 奈良の都の 八重桜(サエ) けふ九重に 
浮かれ来て 二度の勤めは 島原の(ヨイサヨ) 出口の柳に 
ふりわけて 恋と義理との(ヨイサヨ) 二重帯 結ぶ契りは 
仇し野の 夜霧の憂き身の 誰ゆえに(サエ) 世渡る舟の 
かひもなや 寄辺定めぬ あま小舟 岸にはなれて  
頼りなや 島かくれ行く 磯千鳥
(二上り)
忍び寝に泣く 憂き涙 顔が見たさに またここへ
木辻の里の 朝ごみに 菜種や芥子の 花の色
うつりにけりな いたづらに わが身はこれのう この姿
つれなき命 ながらえて またこの頃や 偲ばれん
忍ぶに辛き めせき笠 深き思いぞ せつなけれ

地唄 出口の柳 初代杵屋長五郎作曲 宇治加賀椽作詞 (菊原初子編譜) 本調子



「出口の柳」というのは、

現在の京都市下京区西新屋敷、すなわち壬生通花屋町筋西入る、つまり五条と七条の間で、壬生と千本の間で、JR丹波口駅の南で、梅小路機関車庫の北で、西本願寺の500mほど西で、四条大宮から南へ1.5kmほどのところにある島原大門という門の前に立っている柳の事

との事です。今回掲載いたしましたのは藤枝梅安様からご提供いただいた「出口の柳」の写真です。藤枝様 誠にありがとうございました。

画像

画像

インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/deguchi_no_yanagi.htm

なお以下のURLはとても面白く読ませていただきましたので、ご参考に・・・。京都の方のようです。もしかするとraimund様や藤枝様はご存知なのかも。
http://homepage.mac.com/jakiswede/iblog/C2119790177/E20070711202638/index.html



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

四季の曲

地唄FAN管理人です。
爽やかな青空が拡がって気持ちがよいです。皆様如何お過ごしでしょうか?
箏 組歌の2曲目として本日は 越野 栄松師の演奏による「四季の曲」をアップ致します。



15AB03

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

四季の曲(しきのきょく)


序 花(はな)の春立(はるた)つ朝(あした)には 日影曇(ひかげくも)らで匂(にお)やかに
  人(ひと)の心(こころ)もおのづから 伸(の)びらかなるぞ四方山(よもやま)

一 春(はる)は梅(うめ)に鶯(うぐいす) つつじや藤(ふじ)に山吹(やまぶき)
  桜(さくら)かざす宮人(みやびと)は 花(はな)に心移(こころうつ)せり

二 夏(なつ)は卯(う)の花橘(はなたちばな) あやめ蓮(はちす)なでしこ
  風吹(かぜふ)けば涼(すず)しくて 水(みず)に心移(こころうつ)せり

三 秋(あき)は紅葉(もみじ)鹿(しか)の音(ね) 千種(ちぐさ)の花(はな)に松虫(まつむし)
  雁鳴(かりな)きて夕暮(ゆうぐれ)の 月(つき)に心移(こころうつ)せり

四 冬(ふゆ)は時雨初霜(しぐれはつしも) 霰(あられ)みずおれ凩(こがらし)
  冴(さ)えし夜(よ)の曙(あけぼの) 雪(ゆき)に心移(こころうつ)せり


序.花の咲く春の初めの立春の朝には、日の光も曇らず、艶やかで美しく、四方の山を見ると人の心もひとりでにのどかになる

1.春は梅に鶯、つつじや藤に山吹、桜を冠に挿し飾る宮廷の人たちは、花に心を移した

2.風が吹くと涼しく、涼を求めて、人は水に憧れる

3.夕暮の月に、人は心を惹かれる

4.凍てついた冷たい夜の明け方の真白い雪に心が惹かれる

[調弦]
平調子

[作曲]
八橋検校



インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/shikinokyoku.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

菜蕗

地唄FAN管理人です。

朝夕涼しくなってきていよいよ秋ですねぇ。皆様いかがお過ごしでしょうか?今までは暑さに負けて更新を怠ってきましたが、そろそろ再開したいと思います。
再開にあたっての最初の曲は箏組歌の一曲目 「菜蕗」です。阿部 桂子師の演奏によるものです。
この演奏も同師による「八重衣」同様 私を地唄古典の世界に誘ってくれた非常に印象深い演奏です。皆様にもきっと興味深く聴いていただくことが出来ると期待しております。



15AB04


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

菜蕗(ふき)


一 菜蕗(ふき)といふも草(くさ)の名(な) 茗荷(みようが)というふも草(くさ)の名(な)
  富貴(ふき)自在(じざい)徳(とく)ありて 冥加(みようが)あらせ給(たま)へや

二 春(はる)の花(はな)の琴曲(きんぎよく) 花風楽(かふうらく)に柳花苑(りゆうかえん)
  柳花苑(りゆうかえん)の鶯(うぐいす)は 同(おな)じ曲(きよく)を囀(さえず)る

三 月(つき)の前(まえ)の調(しらべ)は 夜寒(よさむ)を告(つ)ぐる秋風(あきかぜ)
  雲井(くもい)の雁(かり)が音(ね)は 琴柱(ことじ)に落(お)つる声々(こえごえ)

四 長生殿(ちようせいンでん)の裡(うち)には 春秋(しゆんしゆう)を富(と)めり
  不老門(ふろうもん)の前(まえ)には 月(つき)の影遅(かげおそ)し

五 弘徽殿(こうきでん)の細殿(ほそどの)に 佇(たたず)むは誰々(たれだれ)
  朧月夜(おぼろづきよ)の尚侍(ないし)の督(かみ) 光源氏(ひかるげんじ)の大将(たいしよう)

六 誰(た)そやこの夜中(やちゆう)に 鎖(さ)いたる門(かど)を叩(たた)くは
  叩(たた)くともよも開(あ)けじ 宵(よい)の約束(やくそく)なければ

七 七尺(しつせき)の屏風(へいふう)も 躍(おど)らばなどか越(こ)えざらん
  羅綾(らりよう)の袂(たもと)も 引(ひ)かばなどか切(き)れざらん


1.菜蕗も茗荷も草の名であるが、それは仏教でいう富貴や冥加と発音が同じである。その仏教でいう富貴や自在になれる徳を身に付けて、仏様の冥加のあるように

2.春の花にちなむ琴の曲を挙げると、「花風楽」や「柳花苑」がある。また柳花苑といえば、そこでさえずる鶯が有名であるが、その鶯の声は、文字通り春の鶯の曲、つまり光源氏も舞った大曲の「春鶯囀」に通じて、同じように素晴らしい声でさえずる

3.月の前で調べる箏の音は、夜寒を知らせる晩秋の風のようであり、雲のたなびく空高く鳴き渡る雁の声は、その雁が並んで空を渡る形に似た琴柱の上に落ちて、箏の調べとなるような感じがする

4.大内裏の長生殿の中では別世界のようにいつまでも青春時代で、長生の名のように長生きでき、また、不老門の前でも、その名の通り、月日の進行がとどまって遅い

5.弘徽殿の細殿にたたずんでいる人は誰だろう。それは朧月夜の内侍の督と、光源氏の大将である

6.誰ですか、こんな夜中に閉ざした門を叩くのは。宵の内からちゃんと約束ができていないのだから、いくら戸を叩いても決して開けてあげませんよ

7.2メートル以上もある屏風でも、飛び越えようと思えば決して不可能ではない。薄ぎぬや綾織の上質の着物の袂でも、強く引けば切れないということはない

[別名]
越天楽(の曲)。富貴、蕗、草路などとも表記。

[調弦]
平調子

[作曲]
八橋検校城談


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/huki.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表


「秋の言葉」に古川 太郎師の演奏を付け加えました。

「秋の言葉」の項目に古川 太郎師の演奏を付け加えましたのでお知らせいたします。(2010/9/11)

なおこのページは演奏追加のお知らせのためだけの役割ですので、コメントなどは「秋の言葉」のページ本体の方に書き込んで頂くようお願いします。

 →→→ 「秋の言葉」  へのジャンプ

暑気払い! 出囃子集 第1弾

地唄FAN管理人です。相変わらず暑いですねぇ・・・  フゥ・・・

皆様も若干バテ気味かも知れませんね。
そんな状況なので ちょっと暑気払いをさせていただきます。
普段は地唄しか乗せないのですが、こういう時には賑やかで気軽な音楽に限ります!!

と言う訳で「出囃子集」など如何でしょうか。
平川 てる さん、 橘 つや さんの演奏によるものです。
確か京都のお二方はそろそろ「定例飲み会」が近づいているのでは?その時に皆さんでこんなものを演奏すると盛り上がるでしょうねぇ。ただし楽譜はありませんので・・・
お師匠様に怒られても当方は責任を持てませんが・・・(笑い)


 

曲名は
セリ  /  野毛  /  円馬囃子  /  さつま  /  串本  /  助六アガリ  /  金比羅  /  ちゃちゃらかちゃん  /  むさし  /  お前とならば  /  勧進帳  /  本調子かっこ
です。

「五段砧」に福田 千栄子師の演奏を付け加えました

「五段砧」の項目に新たな演奏を付け加えました。演奏者は筝・福田 千栄子師、尺八・坂田 梁山師のお二人です。(2010/8/26)

なおこのページは演奏追加のお知らせのためだけの役割ですので、コメントなどは「五段砧」のページ本体の方に書き込んで頂くようお願いします。

 →→→ 「五段砧」  へのジャンプ

「秋の言葉」に新たな演奏を付け加えました。

「鳥辺山」の項目に新たな演奏を付け加えました。(2010/8/21)
演奏者は 唄・筝替手 笠原 古都師  唄・筝本手 川瀬 白秋師  尺八 岩本 義一師です。


なおこのページは演奏追加のお知らせのためだけの役割ですので、コメントなどは「秋の言葉」のページ本体の方に書き込んで頂くようお願いします。

 →→→ 「秋の言葉」  へのジャンプ

さむしろ

地唄FAN管理人です。
皆様いかがお過ごしでしょうか?  本日は「さむしろ」をアップ致します。

唄・三絃 米川 敏子師
筝     佐藤 親貴師
尺八    山口 五郎師
による演奏です。


22AB04

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

狭筵(さむしろ)


  去年(こぞ)の秋、散りし梢はもみぢして、いま、将(はた)峰に有明の、
  月日ばかりを数へても、まつに甲斐なき村時雨、
  時しも分かず降るからに、色も褪せつついつしかに、
  わが袖のみや変るらん。鳴く音を添へてきりぎりす、
  夜半の枕に告げわある、嵐の末の鐘の声、
  結ばぬ夢も覚めやらで、ただしのばるる昔なりけり。


木々の梢の葉が、みな枯れて落ちたのは、ほんの昨日のように思えたが、もう去年の秋のことになる。今年も木々の葉は紅葉している。ああ、一年経つのは何と早いことであろう。それに、月は山の峰に何回となく沈み、太陽は昇っていった。徒に月日ばかりを数えてみても、果してあの人は帰ってくるのやら、あてどもなく待っているのは、降ると思えば止み、止むと思えば降り出す村時雨に、晴れ間を待つようなものだ。かくて恋しき人の心は変わってしまい、自分だけの片思いのまま、取り残されるのではあるまいか。ふと、夜半、悲しさの忍び泣きに、こおろぎが鳴き音を添えてくれるとは、何と哀れな身の上であろう。嵐が止んで静かになり、暁の寺の鐘が聞こえてくる。眠られないままに、うとうととまどろむ夢も覚めやらず、ただ、昔の思い出がしのばれるばかりである。

解説
[調弦]
三絃:低二上り(一メリ)-一下り(三下り)-本調子-高二上り
箏:平調子-六上り調子-中空調子-二重中空調子

[作曲]
在原勾当

[作詞]
不詳

[他]
大阪系二上り手事物。追善曲。
一周忌の追善曲として作曲されたものと推測されるが、在原行平が松風、村雨と別れた故事を歌ったものとも言う。
手事は二段からなって、前後にマクラ・チラシがつく。
大阪では「地物」の三絃合奏曲としても行なわれ、手事初段に「拾い地」、二段に、砧地を入れる他、初段に『湊川』の合の手を打ち合わせることもある。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/samusiro.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

何の役にたつかは分かりませんが・・・

地唄FAN管理人です。
お盆の期間で夏休みの方も多いのではと思いますが、皆様如何お過ごしでしょうか?

今回は「何の役にたつかは分かりませんが・・・」と題して、8/10時点で地唄FANブログに登録してある曲の参照数を多い順に20曲、少ない順に20曲リストにしてみました。
まさに「何の役に立つのか・・・」と言う事はよく分かりませんが、まぁ暑い中管理人も頭がボーっとしていると言うことでお許し頂き、「ふーん、こんな感じなのか」と言うことをのんびり見て頂ければ良いのではと思います。

リストの見方ですが、きちんとした表を掲載できれば良いのですが、ブログにその様な機能がないので若干見にくいのをお許し下さい。

「曲名 (8/10までの参照数累計/一日当たりの参照数/掲載してからの経過日数)」と言う内容で記載してあります。

まずは参照数の累計の多い順に20曲のリストは以下のようになっております。

萩の露 (350/0.8/430)
八重衣 (291/2.4/119)
黒髪  (242/1.8/134)
鶴の声 (237/1.7/143)
越後獅子 (221/0.5/428)
八島   (211/ 0.5/419)
古道成寺 (196/0.5/398)
乱     (191/0.2/808)
八段   (180/ 0.2/752)
石橋   (178/0.4/ 426)
鳥辺山  (169/0.4/411)
茶音頭  (140/1.1/129)
新娘道成寺 (139/0.9/160)
舟の夢  (138/0.3/420)
残月   (137/0.8/172)
千鳥の曲 (136/1.0/132)
青柳   (130/ 0.7/ 174)
琉球組  (130/0.3/418)
末の契  (129/0.9/138)
二重砧  (129/0.2/751)


堂々の一位は「萩の露」でした。確か「風の子」様が尺八の練習に使いたいと言うことで繰り返し聞いて頂いているのが参照数がアップした要因かなと思っております。有り難うございます。

二位が「八重衣」 流石人気曲ですねぇ。一日当たり参照数が2.4回と多いのは「衣中毒?」にかかってしまった方からのアクセスかも知れませんね。しかしこの大曲を多くの方が聴いて下さっていると言うことは、とても有りがたいことだと思います。

三位が「黒髪」でした。「黒髪」は三絃を始められたばかりの方でも必ず練習する曲ですし、現在「黒髪」には各派の演奏が4種類掲載されていますので、それで参照数が多いのかも知れませんね。

その他 いずれも「なるほど なるほど」と思わされる曲が続いていますねぇ。少し意外なのは「鳥辺山」 や 「琉球組」の様な曲が上位に来ていることです。これはやはり富崎 春昇師の演奏の魅力なのでしょうか・・・



続いては参照数の少ない曲目のリストです。掲載してからあまり日数が経過していないと言うことで参照数が少ないという曲も有ります。「竹生島」はその様な例で一日の平均参照数が1.4と多めなのでいずれランキングをあげてくると思います。
しかし一概にそうも言えない曲が有ります。

特に「かづき面」 「十三鐘」 は 富崎 春昇師の名演なのでもっと参照されても良いように思いますねぇ。皆様是非とも再度鑑賞してみていただけると幸いです。 両方とも本当に良い曲、良い演奏ですよ。

「四季の眺」は富山師、中能島師による名演です。こちらもちょっと不思議な感じがします。コメント数も3つと少なくて・・・ 再度聴いて頂ければこの人間国宝の両師による演奏を見直して頂けるのではと期待しております。

最も不思議なのが「虫の音」です。井上 道子師による名演で管理人個人としてはとても好きな演奏です。これから「虫の音」が魅力的になってくる季節でもありますし、皆様こちらも再度聴いてみて頂けると有り難いです。この曲には何故かコメント数も少なく、若干寂しいです。絶対に気に入って頂けると期待しております。全く脈絡の無いことを承知で申し上げれば「八島」の参照数があれだけ多いのに、「虫の音」がこれだけ少ないのはとても不思議な感じが致します。こちらも是非とも再度聴いてみて頂けると有り難いです。

「若菜」に関しては現在 富山師の演奏がアップされていますが、演奏の種類を増やすなどの強化が必要の様に感じますので、現在検討中です。


参照数の少ない曲目のリスト
菜の葉  (34/0.5/63)
若菜   (40/0.6/70)
曲ねずみ (47/ 0.6/ 73)
紅葉尽くし (48/1.0/49)
竹生島   (60/1.4/42)  ← ハイパーリンク有り 是非一度どうぞ!!
秋の言葉  (60/0.5/131)
かづき面  (60/0.2/384)  ← ハイパーリンク有り 是非一度どうぞ!!
四季の花  (61/0.5/121)
海女小舟  (63/2.5/25)
十三鐘   (64/0.2/390)  ← ハイパーリンク有り 是非一度どうぞ!!
笹の露   (66/0.8/84)
すり鉢・れん木 (66/0.5/136)
トライアル  (66/0.1/809)
四季の眺  (67/0.4/158)  ← ハイパーリンク有り 是非一度どうぞ!!
袖香炉   (68/0.8/90)
虫の音   (69/0.5/144)  ← ハイパーリンク有り 是非一度どうぞ!!
都獅子   (69/0.1/736)
袖の露   (71/1.1/66)
松竹梅   (71/0.9/77)
春の曲   (71/0.6/127)

長々と書きましたが、何の役にもたちませんでしたかねぇ・・・(スミマセン)


ちなみに最近アップした以下の曲は驚異的なペースで参照数アップ中です。特に「三津山」は凄いです!!
三津山   (118/29.5/4)
初音    (116/6.4/18)
青葉    (85/3.9/ 22)

たまにはこんなのもお許し下さい。
それでは 買い物に行ってきます。 一旦失礼致します。





三津山

皆様 毎日暑い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか?

本日は先日の「萩原 正吟師を偲ぶ」で一部お聴き頂いた、「三津山」の全曲をアップ致します。恐らく同一録音による全体像と思います。「三津山」と言う曲を知って頂き、好きになって頂くには最適の演奏でしょう。

先日の「萩原 正吟師を偲ぶ」では演奏者は 唄 大村 尚子師、箏 萩原 正吟師、三絃 堀 正美師と紹介されていました。





ありす様から歌詞などの情報のご提供を頂きました。
この長大な曲を聴くには歌詞の助けは大きいと思いますので、本当に有り難い事と感謝しております。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
[歌詞]
足引きの、大和の国三津山の、昔を語るに、よも古(いにし)へに楢(なら)の葉や、
膳夫(かしわで)の公成(きんなり)といふ人ありけり。
その頃耳成(みみなし)の里に、桂子と申す女あり。
また畝傍(うねび)の里に、桜子といへる優女(ゆうじょ)ありしに、
かの膳夫(かしわで)の公成(きんなり)に、
契りをこめて玉櫛笥(たまくしげ)、二道(ふたみち)かくる蜘蛛(さきがに)の、
いと浅からぬ思ひ夫(づま)、月の夜(よ)雨の夜半(よわ)とても、
心を染めて通ふ神、[合] 住み家も二つの里なれば、
月よ花よと争ひしに、この桜子になびきてぞ、[合] 
耳成(みみなし)の里へは来ざりける。

[手事]

その時桂子恨み侘び、さては我が身も変はる世の、
夢も暫しの桜子に、心を寄せてこなたをば、
忘れ忍(しのぶ)の軒の草、はや離(か)れがれになりぬるは、
もとよりも頼まれぬ、二道なればこのままに、
住み果つべしと思ひきや、[合の手] ただ何事も、
時に従ふ世の慣らひ、ことさら春の頃なれば、
盛りなる桜子に、移る人をば恨むまじ。

[手事]

我は花なき桂子の、我が身を知れば春ながら、
秋にならんも理(ことわり)や。
さるほどに起きもせず、寝もせで夜半(よわ)を明かしては、
春のものとて長雨(ながめ)降る、夕暮れに立ち出でて、
入相(いりあい)もつくづくと、南は香具山、
西は畝傍(うねび)の山に咲く、桜子の里見れば、
さらに他目(よそめ)も花やかに、
羨ましくぞ思ほゆる。
あら恐ろしの山風や、我は畝傍(うねび)の里に住む、
桜子という者なるが、かやうに物に狂ふぞや。
因果の花につき慕ふ、嵐をよけて賜(た)び給へ。

[合の手]


光り散る、月の桂も花ぞかし、
もとより(も)ときあ(な)る春の花、
咲くは僻事(ひがごと)なきものを、
花もの言はずと聞きつるに、
など言の葉を聞かすらん、
春幾何(いくばく)の身にしありて、
影唇を動かすなり。
さて花は散りても、またもや咲かん、
春は年どし、頃は弥生の、雲となり桜子、雲となり桜子、
花は根に帰り、妬(ねた)さも妬し後妻(のちつま)を、
打ち散らし打ち散らす、打てども去らぬは煩悩の、
犬桜花に伏して泣き叫ぶ、悩み乱るる花心、
有明桜光り添ふ、月の桂子一つ夜に、
二道かくる三つの山、争ひ立つや春霞、
天の香具山畝傍山、たなびきそめて耳成(みなし)山、
春の夜みちてほのぼのと、東雲(しののめ)の空となりにけり。


[調弦]
三絃:三下り-本調子-二上り-高三下り-高本調子
箏 :半雲井調子-平調子-中空調子

[作曲] 光崎検校
箏手付:八重崎検校

[作詞] 後楽園四明居(三井次郎右衛門)

[初出] 詞章は天保13(1842)年刊『琴曲新千代の寿』
歌本では京都系:明治3(1870)年の『新うたのはやし』
大阪系:明治13(1880)年版の『歌曲温習考』


手事物。三井高英作詞。天保(1830~44)ごろ活躍し、純箏曲の復興者として有名な光崎検校(不明~嘉永6(1853)頃)が作曲。それに名手 八重崎検校(安永5(1776)頃~嘉永元(1848))が箏手付けをした。三味線は三下がりからすぐに「古(いにしへ)に」で本調子、手事があって中歌で二上り、また手事ががあって後歌で三下りから本調子。箏は半雲井調子、平調子、中空調子と転調。歌詞は地唄としては珍しく物語り風で長い。三津山とは香具山(かぐやま)、耳成山(みみなしやま)、畝傍山(うねびやま)という大和三山のことで、この三つの山が神代に争った事があるという伝説をふまえ、膳夫(拍手:かしわで)の公成(きんなり)という人を、耳成の里の桂子と畝傍の里の桜子という遊女が争うという筋。前半は桂子の恨みから狂乱、後半は桜子の狂乱となる。
手事が二回あり、調子もたびたび変わるが、歌がむずかしくあまり演奏されない。光崎は「五段砧」 「秋風の曲」など箏曲の画期的な作品で知られているが、この様な三味線の大曲も作っている。
(邦楽百科事典、音楽之友社 より)



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

海人小舟

地唄FAN管理人です。
暑い日が続きますが皆様如何お過ごしでしょうか?
昨日は藤井 昭子師の地歌ライブ 50回記念公演を聞きに行くことが出来ました。「新青柳」 「融」 「八重衣」 と言う石川の三物の連続演奏。(しかも 公演自体は昼夜の2回だったとか・・・)
どの曲も入魂の演奏で素晴らしかったです。演奏者ご本人も大きな節目と言うことで特別の思い入れが有るようで、普段の地歌ライブとは取り組み姿勢が異なるように感じられました。

また会場には祖母 阿部 桂子師のCD(元々はアナログレコードで出ていた物のCD版)が販売されていました。前々から手に入れたかった物ですので思わず3枚とも購入。(財布が軽くなった・・・嬉+涙)

前置きはこの程度にして、本日は藤井 久仁江師演奏による「海女小舟」をアップさせて頂きます。
歌詞などの情報はありす様からご提供頂きました。本当にいつも有り難うございます。
唄・三絃 藤井 久仁江師
箏 阿部 桂子師
による演奏です。


21B02


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
雁は北、人は南に帰る海、おのが小舟に棹さして、
涙の雨に濡るる海人(あま)、
草の扉(とぼそ)の故郷(ふるさと)へ、
行く春惜しむ恋衣、
着つつ慣れにし夫重(つまがさ)ね、
幾夜仮り寝の旅枕、交(か)はせし事の数かずを。
関の空音(そらね)を鶏(とり)もがな、
また逢坂の折を待ち、
秋澄む月を二人眺めん。

[調弦]
三絃:本調子-二上り
箏 :半雲井調子-平調子

[作曲] 不詳
箏手付:笹尾竹之一

[作詞] 不詳

[他]
作曲者不詳。手事物。久留米の宮原検校(?~1864)から伝承されてきたものに、
熊本の笹尾竹之一(1855~1938)が箏の手をつけたものが行われており、
九州系の古曲である。手事物形式で作られているが、詞章は、長崎の
蘭医の娘が、気に染まぬ婿と結婚させられて、恋人を思って嘆き悲しむ情を
歌ったものといわれる。春になると、南の天草の故郷へ、小舟に乗って
帰ってしまう海人(あま)である恋人に対して、再び逢うことができて、
共に秋の月を眺めたいと願った詞章は、そこはかとないあわれさを
感ぜしむるものであり、「尾上の松」とは異なり、手事物とはいえ、
しんみりと聞かせる曲で、むろん歌にも比重がある。
手事部にはチラシがある。それほどの大曲ではないものの、
歌意の表現がむずかしい。



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

初音

地唄FAN管理人です。
皆様 大変暑くなって来ましたが如何お過ごしでしょうか?
昨日は新しく単管丸様、きょしん様と言うお竹の方に訪問して頂きました。皆様暖かく迎えて差し上げて下さい。そうすればきっと積極的にコメントなども頂戴できるようになると思います。よろしくお願い致します。

本日は名古屋の検校?の演奏による「初音」をアップ致します。
raimund様のご協力で、曲に関する各種情報を整えることが出来ました。こうして皆様にご協力いただけるこの地唄FANブログはとても幸せです。凄くハッピーな気分です。raimund様 大変お疲れのところ本当に有難うございました。
唄・三絃 三品 正保師
唄・三絃地 井野川 幸次師
箏 土居崎 正富師
による演奏です。


14AB02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to raimund様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
世のちりを包むみゆきのふるとしも、
一夜明くれば(合)春景色(合)
まだ里なれぬ鶯(合)
初音やさしく、ささ啼きて(合)
ささより(合)松の枝伝い(合)
につと軒端の笑い顔、
(手事)
梅と添い寝のかり枕(合)
共に嬉しき夢さえも(合)
さめてめでたきみつの朝風。

[調弦] (三絃)本調子/二上り(箏)半雲井/平調子

[作曲] 光崎検校(天保年間)
[作詞] 播州高義

前唄、手事、後唄も三段形式で新春の祝言葉を読み込んだお目出度い曲で、光崎検校の検校披露を祝って作られた歌調である。


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

青葉

地唄FAN 管理人です。

本件は「萩原 正吟師を偲んで」 からのリンク先にもなっています。
「青葉」に関しては全曲演奏でしたので、独立した項目にした方が良いと思ってこの様な形に致しました。




「萩原 正吟師を偲んで」に戻る


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
[歌詞]
こは情なの仕業(しわざ)やな
さのみ人には辛かりそ悲しみの
涙眼(まなご)にさへぎりて
西も東も白波の
よるべさためぬ泡沫(うたかた)の
いっそ泡とも消えもせで
焦れこがるる身の行方
青葉青葉と呼べども浜の
浜の松風音ばかり
そよとばかりの便りもがなと
恨みなげくぞあわれなる

[調弦] 三下り

[作曲] 杵屋長右衛門、葛山四郎兵衛(合作)

[作詞] 不詳


[他]
三下り端歌物。芝居歌物。
杵屋長右衛門と葛山四郎兵衛の合作の曲。元禄期の名女形、芳沢あやめが演じた芝居の中の曲が、地歌に残されたもので、青葉というのは登場人物の名である。
元禄17(1704)年の『落葉集』に「関東小六青葉」としてこの曲が出ている。
節の難しい曲で、今川勾当の『袖時雨』、 峰崎勾当の『ゆき』とあわせて三つ歌物 (または三歌物[さんうたもの])として大事にされてきた。中でもこの「青葉」は、「三役物」習得後に教習されるのが慣例であったという。



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

萩原 正吟師を偲んで 

地唄FAN管理人です。

皆様如何お過ごしでしょうか?いよいよ本格的な夏到来と言うところですね。体調に留意されてお過ごし下さい。

さて今までは全て地唄の演奏だけをアップして参りましたが、今日は休日と言うこともあり、手元に少しだけ有る他の物も聞いて頂きたく思って作成致しました。

本日は「萩原 正吟師を偲んで」と題して、大村 尚子師がラジオ番組(邦楽鑑賞会 上方の名人たちを偲んで)で自らの師である萩原師について語っておられるものをアップさせて頂きます。

萩原 正吟師の人となり、昔風のお稽古の様子など興味深く聞いて頂けるのではないかなと思います。
京都のお二方にとってはとても楽しみな内容かも知れませんね。


まずは番組冒頭部分です。




続いては三味線組歌 「待つにござりた」の一部




[合の手]

六 君(きみ)と我(われ)とはノヤ、わくの糸(いと)の、切(き)れて離(はな)れて、また結(むす)ぶ。

七 エイ思(おも)ふままなるはノヤ、今宵(こよい)かなノ、月(つき)は朧(おぼろ)に、
  夫(つま)は来(き)て。

  エイ紅葉葉(もみじば)を見(み)よ、濃(こ)いは散(ち)るイヨエイ。


対談部分




・長歌物 「青葉」 萩原 正吟師による演奏。
 こちらは全曲演奏ですので、独立した項目を作成いたしました。
 下記から「青葉」の項目にジャンプしてお聞きいただけます。  
  → 「青葉」 
 

・対談 続き


 

・三津山 (部分)




・対談 最後





大村 尚子師からは萩原 正吟師について色々と興味深いお話を伺うことが出来て良かったと思います。
今回で一旦この項目は完成です。

今小町

地唄FAN管理人です。

皆様いかがお過ごしでしょうか。本日は「今小町」をアップ致します。
実は管理人はこの曲、この演奏が大好きなのです。

唄・三絃 阿部 桂子師
唄・筝  藤井 久仁江師
尺八   沢井 三山師
の皆さんによる演奏です。


12B01


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

今小町(いまこまち)


  松の位に柳の姿、桜の花に梅が香を、籠めてこぼるる愛嬌は、
  月の雫か、萩の露の情けに憧れて、われも迷ふや蝶々の、
  恋しなん身のいく百夜、通ふ心は深草の、少将よりも浅からぬ、
  浅香の沼のそこまでも、引く手あまたの花あやめ。
  
  たとへ昔の唐人の、山を抜くてふ力もて、引くとも引けぬ振袖は、
  粋な世界の今小町。
  
  高き位の花なれば、思ふにかひも嵐山。
  されど岩木にあらぬ身の、意気な男の手管には、
  否にもあらぬ稲舟の、沈みやもせん恋の渕。
  逢わぬ辛さは足曳の、山鳥の尾の長き日を、怨み喞ちて人知れず、
  今宵逢う瀬の新枕。積る思ひの片糸も、解けてうれしき春の夢。


傾城の最高の職名を「松の位」といった。柳の姿のように美しく。しかも桜の花に梅の香を籠めているような馥郁たる容姿は、何人も魅了しないではおかない。我もまた、花を求める蝶のように迷い、月の雫か萩の露の情けを得たいものと、恋しい心は日ごとに募り、通う心は深草の少将が小野小町の許に百夜通い続けた執念にも劣らないつもりだが、それもはかない望みに過ぎない。

松の位ともなれば、引く手数多であるが、たとえ山を抜くような強い権力や金力でも、嫌となれば靡かない。それが色町の女の心意気なのである。

われもわれもと、思って通う人は多いが、いずれは片思いに終わることであろう。しかし、女の心は木石ではない。粋な男の手管にかかれば、否応もならず、深い恋の渕に落ち込むのである。さて、そうなれば、逢えぬ辛さを人知れず怨み託ちながら、長い一日を待ち暮らす。やがて、今宵は待ち焦がれた人が訪れる。日頃の募る思いの数々も淡雪のようにとけ去ることであろう。

解説
[調弦]
三絃:二上り-三下り-高本調子
箏:平調子-中空調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
不詳

[他]
京風手事物。
小野小町を引き合いに出して、今の小町に見立てた廓の女のありさまと心情を歌ったもの。小町伝説の故事には直接の関係はない。
手事は、マクラ・手事・中チラシ・本チラシ。
かつての許し物。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/imako.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表





竹生島

地唄FAN管理人です。
皆様 長歌物に随分新鮮な驚きを感じられたようで良かったです。この様な良い曲が失われようとしているのは本当に悲しいことですね。地唄は本当に奥が深いです。
raimund様が「竹生島」を今練習されているとの事ですので、予定を早めてアップさせていただきます。演奏は 阿部 桂子師です。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

竹生島(ちくぶしま)


  さる程に、これは勿体(もつたい)なくも竹生島、弁財天の御由来、
  委しくこれを尋ぬるに、津の国難波の天王寺、
  佛法最初の御寺なり。

  本尊何かと尋ぬるに、しょうめん童子庚申(かのえさる)。
  聖徳太子の御建立、三水四石で七不思議、
  亀井の水の底きよく、千代に八千代にさざれ石、
  巌(いはほ)となれや八幡山、八幡に八幡大菩薩。
  山田に矢橋(やばせ)の渡し守。
  漕ぎゆく船から眺むれば、女波男波の絶間より、
  弓手(ゆんで)にたかき志賀の寺、馬手(めて)は船路で片をなみ、
  沖なる遥かを見わたせば、昔聖人のほめたまふ、
  余国に稀れなる竹生島。
  孝安天皇の御代のとき、頃は三月十五日、
  しかもその夜はつちのとの、己を待つ辰の一天に、
  二股竹を相添へて、八声(やごえ)の鶏と諸(もろ)ともに、
  金輪奈落の底よりも、揺ぎ出でたる島とかや。
  さるによって鳥居にかげし勅額は、
  竹に生るる島とかく。
  これ竹生島とは読ますなり。
  弁財天は女体なれど、十五童子のそのつかさ、
  巌に御腰をやすらへて、琵琶を弾じておはします。

解説
[調弦]
三絃:二上り
箏:平調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
不詳(東都某?)


[他]
京物の二上り端唄物。
難波の四天王寺から竹生島への参詣の道行を導入とし、竹生島縁起を歌ったもの。謡曲とは無関係。


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

紅葉尽し

地唄FAN管理人です。皆様いかがお過ごしでしょうか?
本日は「紅葉尽くし」をアップ致します。
唄 菊原 初子師
三絃 菊寺 光治師
箏 菊津木 昭子師
による演奏です。


16AB02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

紅葉尽し(もみじづくし)


  秋更(ふ)くる、深山楓(かへで)の小夜時雨(しぐれ)、手染めの糸の竜田姫、
  織り出す錦品々に、

  [合の手]

  その名も高雄小倉山。
  行幸(みゆき)待たなん飛鳥川(あすかがは)、変る心は薄(うす)紅葉、
  唐紅(からくれなゐ)の竜田川、流れて留る柵(しがらみ)に、

  [合の手]

  紅葉の波の遥(はるか)なる、千里(ちさと)の外の唐錦、
  我が敷島の道しるべ、

  [合の手]

  紅葉襲(かさね)の名取川(なとりがは)、君松が枝の夕暮に、
  月の蔭さへ通天(つうてん)の、遠近(をちこち)人も陸奥(みちのく)の、
  枝垂(しだれ)紅葉や糸紅葉(いともみぢ)。

  [合の手]

  寄る年浪の水鏡(みづかがみ)、うつろふ色の二(ふ)た面(おもて)。

  [合の手]

  忘れ形見の朝露に、

  [合の手]

  雁の玉章(たまづさ)

  [合の手]

  蔦紅葉(つたもみぢ)、

  [合の手]

  また如月(きさらぎ)の花よりも、増す紫のひとしほに、

  [合の手]

  酒あたためし唐詩(からうた)の、

  [合の手]

  昔を忍(しの)ぶ須磨の浦、

  [合の手]

  青葉の笛の鹿紅葉(しかもみぢ)、

  [合の手]

  爪紅(つまくれなゐ)や青海波(せいがいは)、

  [合の手]

  夜の錦は古郷(ふるさと)の、

  [合の手]

  風の便りも神無月。

  [合の手]

  数は八(や)しほか九重(ここのへ)に、

  [合の手]

  十二単衣(ひとへ)の裏紅(うらべに)に、薄柿(うすがき)うこん色々を、
  数へ数へて幾日をか、秋の名残を眺むならまし。



解説
[調弦]
三絃:本調子-二上り-高三下り

[作曲]
津山検校

[作詞]
津山検校?

[他]
本調子長歌。物尽し物。
1782年『歌系図』に曲名が初出。
紅葉の名所と種類を綴ってある。


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

菊の露

地唄FAN管理人です。

皆様如何お過ごしでしょうか?
本日は菊原 初子師演奏による「菊の露」をアップいたします。
コメントはちょっとと言う方でも、ブログ気持ち玉などを気軽に貼り付けていただけると有り難いです。それでは宜しくお願いいたします。




皆様如何お過ごしでしょうか?地唄FAN管理人です。
本日は富山 清琴師演奏による「菊の露」を追加致します。
気軽に感想など書き込んでいただけると有難いです。(2011/11/12)



32AB05

地唄 「菊の露」

鳥の声 鐘の音さへ身にしみて 思ひ出すほど涙が先へ 落ちて流るる妹背の川を と渡る船の楫だにたえて 甲斐もなき世と恨みて過ぐる

二上り
思はじな 逢ふは別れといえども愚痴に 庭の小菊のその名に愛でて 昼は眺めて暮しもしょうが 夜々ごとに置く露の 露の命のつれなや憎や 今はこの身に秋の風



作曲 広橋勾当
作詞 ふくしん

三絃 :本調子



頃は秋、空にとぶ鳥の声をきくのも、また寺々の鐘のひびきも一入身にしみて、去っていった人を恋しく思っているのです。落ちる涙は川のように流れ、いとしい人の通う舟の楫も絶えて、何のたよりもない遠い人となってしまったのです。今は生きて甲斐のないこの世を恨むばかりです。昼は庭の小菊をうち眺めて、このさびしさを慰めてはみるものの、夜は夜ごとに花におく露のように、哀れなわが身をひとり嘆いています。

世によく知られる地唄の代表曲の一つで、舞としても、常に上演の絶えないものの中に数えられています。

内容は釈迦の“愛別離苦、会者定離”がよりどころになっていて、逢いに来てくれない男のつれなさを、恨みつつも恋い慕って、庭の菊を眺めながら身をかこち、露の命のはかなさを嘆いて、秋の風と捨てられた悲しい女ごごろを唄ったものです。

総体に沈んだ曲調で、舞もそれにつれてはなやかさは見られませんが、それが、しんとした地唄舞の極地に通じるものがあり、短い曲の中で、悲しい女ごころがキメ細かく舞われてゆきます。その技巧を鑑賞するのが要点ですが、前の唄に続き「思ひ出すほど涙が咲きへ 落ちて流るる妹背の川…… 「思はじな 逢ふは別れといえども愚痴に…… といった風に恨みや涙、愚痴などの悲しみ、やるせなさの連続だけに、その舞が単調になりやすいのです。そのためには舞い手の優れた技量が要求されるわけです。

終わりはまた「露の命のつれなや憎や 今はこの身に秋の風…… という風に心の中を秋風が吹き抜けてゆくような寂しさで結んでいます。

 (「日本舞踊全集」日本舞踊社出版 第二巻 75~77ページ 地唄「菊の露」より)

昔は、よくこの曲のことをいいます時に、浄瑠璃の「壷阪」(義太夫『壷阪観音霊験記』)を引合いに出したものです。盲目の沢市が、心のわだかまりを隠して三味線を弾く場面(「沢市内の段」)があり、そこに使われているのがこの「菊の露」の一節で、地唄のほうは知らなくても、「壷阪」のことをいうと、皆は「ああそうか」と納得したものでした。ところが近頃は、「壷阪」も「三つ違いの兄さんと…… も、ぜんぜん通用いたしません。
-抜-
「菊の露」という名の酒があります。地唄や義太夫のことからしますと、どうしてこんなのを酒の銘にするのかと、一瞬思いますが、菊の露は、本来はおめでたい意味で不老長寿の薬なのです。

「我宿の 菊の白露今日ごとに 幾代つもりて淵となるらん」は『拾遺集』にある歌。その元は、中国は河南省南陽県の菊水の伝説で、『太平記』や能の「菊慈童」にも出てきます。

九月九日は重陽の節句、

「露ながら 折りて挿さん菊の花 老ひせぬ秋の久しかりける」

これもまた菊の露の歌でした。

 (「地唄うた暦」中井猛著 (有)邦楽ジャーナル発行 9ページ 九月「菊の露」より)


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/kikunotuyu.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

菜の葉

皆様 いかがお過ごしでしょうか?
本日は萩原 正吟師による 「菜の葉」をアップ致します。
なお本項目の情報はありす様からご提供いただきました。誠に有難うございます。皆様のご協力のお陰でこのブログも充実させることが出来ています。本当にありがたいことです。今後ともよろしくお願い致します。



16AB03

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
可愛(かわ)いといふ事は、誰(た)が始めけん、他の座敷は上(うわ)の空、
許様(もとさま)参ると、認(しめ)す心のあどなさよ。
上(うえ)々様の痴話文(ちわぶみ)も、別にちがはぬ様(さま)参る、
思ひ回せばもったいなうて、言葉下げたら思ふ事、
菜の葉にとまれ蝶の朝(あさ)。

[調弦] 二上り

[作曲] 歌木検校

[作詞] 不詳

[初出] 宝暦9(1759)年刊『糸のしらべ』

[他]
二上り端歌物。作詞者不詳、歌木検校ふさ一(1756登官)作曲(『歌系図』)。
京都系のベタ付けの箏の手は、天保4(1833)年刊『千重之一重』巻之一に
作者しらずとして収録。思う人に送る手紙に、相手を蝶に、自分を
菜の葉にたとえ、早く来て欲しい気持ちを述べたもの。

[補説]
歌木検校は、大阪の新八橋流筝曲の伝承者、歌(佳)川検校品一(1732登官)の
弟子で、端歌改革の旗手として知られる。
その改革が、俳諧調の歌詞の嚆矢となったとされ、
その動機的な曲となったのが「かくれんぼ」とされている。



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

袖の露

地唄FAN管理人です。

本日は阿部 桂子師による「袖の露」をアップいたします。



04AB03


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

「袖の露」

白糸の、絶えし契りを人問はん。
つらさに秋の夜ぞ長き、あだに問ひくる、月は恨めし、月は恨めし。
明け方の枕に誘ふ松虫の、音も絶えだえにいとどなほ、
荻ふく風のおとづれも、きくやと待ちし侘しさの、
涙の露のおきて思ひ、伏してまろ寝の袖に乾わかん。

[調弦] 二上り

[作曲] 峰崎勾当

[作詞] (播州)市朝

[初出] 文化6(1809)年刊『大成よしの山』

[他]
「袖の露」と題する端歌には三種あるが、この「白糸の~」で始まる
二上り端歌は、文化(1804~18)以降に行われて、「新袖の露」とも言われた。
「白糸の~」の詞章の初出は上記のとおりであるが、『歌曲時習考』の文化版や、
文政11(1828)年刊の『絃曲大榛抄』には、峰崎勾当調、油屋茂作・市朝作詞
(『大榛抄』油屋茂作外一人)とするのに、同じ『時習考』の文政元(1818)年版には
村住勾当作曲とのみ記されている。検討を要するが、峰崎の作品として扱ってよいだろう。
いずれにせよ、秋の夜長に、来ぬ人を待つ女心を歌ったもので、『大榛抄』には、
「句の心あきらかなり。いとよくととのひし曲也」とある。
ちなみに、天保4(1833)年刊の『千重之一重』巻之四に、作者知らずの箏の手と
歌の譜が収録される。


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

若菜

地唄FAN 管理人です。

皆様如何お過ごしでしょうか?
本日は「若菜」をアップいたします。
唄・三絃 富山 清琴師
箏 萩原 正吟師
による演奏です。


09B02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

若菜(わかな)


  年はまだ、幾日(いくか)もたたぬささ竹に、
  今朝そよさらに春風を、われ知り顔に鶯の、
  もも喜びの音を立てて、
  うたひ連れ立ち乙女子が、摘むや千歳の初若菜。
  若菜摘む手のやさしさに、
  梅が枝に囀づる百千鳥(ももちどり)の声添へば、
  色さえ、音さえめでたき。


年が明けて、生えてまだ幾日も経たない若い小竹に、今朝はそよそよと春風が吹いている。春が来たのを自分が一番早く知っているというような顔をして、枝から枝に飛び移る鶯の喜びに溢れた声が聞こえる。ああ、春の歌を歌いながら少女たちが楽しそうに連れ立って、おめでたい初若菜を摘んでいる。少女たちの若菜摘む手の優しさに、梅の枝に止まっている鶯が声援してくれる。その長閑な風景は若菜の色も鶯の声も、みんな初春のめでたさをたたえているようである。

解説
[調弦]
三絃:二上り
箏:平調子

[作曲]
松浦検校
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
大阪の前田某

[他]
京風手事物。
正月の若菜摘みの情景を詠ったもの。
歌の節使いに特徴があり、声明の節使いを取り入れたとも言われる。前歌の最後と後歌最後の旋律とが共通する。
手事には中チラシとチラシとが付き、一部『八重衣』の手事に類似する。チラシは『新浮舟』のチラシと合う。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/wakana.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

曲ねずみ

地唄FAN管理人です。

本日は「曲ねずみ」をアップいたします。
唄・三絃替手 富山 清琴師
三絃本手 富田 清邦師 / 富上 清幸師
による演奏です。


12A01

この曲は富山師の演奏でかなり有名になりましたので、お聴きになったことがある方も多いのではと思います。

昨日歌詞などの情報無しでアップしたところ、raimund様、ありす様から早々と情報を頂戴しました。本当に有り難うございます。この「地唄FANブログ」は皆様からの絶大なるサポートのお陰で、管理人の力量不足を補って頂く事が出来てとても幸せです。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to   raimund様、  ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
(前弾) 
釈迦に提婆(だいば)や、鯨に鯱(しゃちほこ)、月に叢雲(むらくも)、花に風、
国に盗賊(ぬすびと)、家には鼠。
宵は天井がらがらがら、仲間鼠を呼び集め、相撲取るやら踊るやら (合)
ちゅうちゅうでせ、ちゅうちゅうでせ、(合)
五百七十七(しちじゅうなな)曲がり、猫のねの字も嫌で候、(合)まづは梁(うつばり)(合)越えたり。(合)

中にも古き大将は、天井板の隙間より、下の様子を窺へば、(合)
夜(よ)も深しんと更け渡る、人も静まり、行燈(あんど)もしめて、時分は(ナ)よしとうちうなづき、(合)
さらばこれから座敷へ下りょう、皆来い来いとうち連れて、柱や(合)障子ごそごそ、(合)ごそごそ、(合)
ごっそりごそりと下り揃へば、(合)

大将耳をよぢ振って、こりゃこりゃこりゃ、手下の鼠ども、まづ十四五匹は、
茶の間料理場台所、山葵(わさび)おろしに近寄るな、(合)
走樋(はしり)のもとには水壺あり、縁(ふち)を伝うて滑るなよ、
まだその先にはき猫、たたみうち、升落とし、合点か。(合)

必ず必ず忘れても、棚間道具を引き崩し、飯焚(めしたき)婆めを起こすなよ。
さてまた歯節(はぶし)の達者な者どもは、(合)箪笥長持かじるべし。
尾長の禿は、いつもの如く行燈(あんど)部屋(べや)、
油徳利に尾を入れて、随分ずゐぶん油を舐(ねず)るべし。
廿日(はつか)鼠は化粧の間(ま)、鬢台(びんだい)をかじるべし。
我はこれにて休らはんと、違ひ(合)棚にぞ上がりける。

[手事]

向かうにごりごり、かしこにごとごと、がったりがたり、(合)
向かうにごりごり、かしこにごとごと、がったりがたり。(合)
思ひがけなき二三匹、慌しく駆け来たり。(合)
もうしもうし大将は、大事が起こり候や。(合)
私どもはいつもの如く、にくりんの肴戸棚をかじるうち、
俄(にわか)に台所は大騒動、ちょっとのぞいて候へば、
赤斑(あかまだら)の大猫が、尾長の首筋引っ銜(くわ)へ、
ちゅっと鳴いたが、後はめりめり、ばりばり、
なうなう恐(こわ)や恐ろしや、身の毛を立ててぞ語りける。
大将胸騒ぎして、ようこそようこそ知らせたり、
これが真(まこと)のちゅう忠と、皆みな天井へ(合)上がりける。

[調弦] 本調子

[作曲] 不詳

[作詞] 不詳

[初出] 『荒れ鼠』としては、天明4(1784)年刊の『新撰詞曲よしの山』、
    作物としては、享和元(1801)年版『新増大成糸のしらべ』
    

[他]
本調子作物。
『荒れ鼠』としては、天明4(1784)年刊の『新撰詞曲よしの山』に
半太夫物として初出。作物としては、享和元(1801)年版『新増大成糸のしらべ』
以降、『歌曲時習考』も文化2(1805)年版以来、作物とする。
『糸の節』の類では寛政6(1794)年版以降に収録。
なお、「曲鼠」として収録する歌本はない。
「ねずみ」を主題とした最も古いものは「荒れ鼠」で、語りを中心としたものであり、
その詞章を利用して、三絃の手を聴かせるものとして別に作られたのが「曲鼠」である。
替手は富崎春昇の伝承に、さらに富山清琴が手を加えたもの。
本来替手は即興的に演奏者が工夫するものとされている。


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

松竹梅

地唄FAN管理人です。
皆様 お久しぶりです。ちょっと外出しておりまして私もしばらくアクセスできませんでした。
本日は富山 清琴師の演奏による「松竹梅」をアップ致します。
この曲も大人数での演奏はそこそこ聞く機会も有るのですが、小規模の演奏はなかなか生では接することがありませんねぇ。
お聴きになったら気軽に「気持ち玉」でも付けていただけると有りがたいです。よろしくお願いします。
唄・三絃 富山 清琴師
三絃 富永 清香師
箏 富山 美恵子師
箏 加川 清枝師
尺八 山口 五郎師
による演奏です。


13B01

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

松竹梅(しょうちくばい)


  たちわたる、霞を空のしるべにて、のどけき光新玉の、
  春たつ今朝は足曳きの、山路を分けて大伴の、
  三津に来啼く鶯の、南より笑ひ初む、
  かをりにひかれ声の麗らか。

  羽風に散るや、花の色香も、猶し栄えあるこの里の、
  浪花は梅の名どころ。

  君が代は濁らで絶えぬみかは水、末澄みけらし国民も、
  げに豊かなる四つの海。

  千歳限れる常磐木も、今世の皆に引かれては、
  幾世限りも嵐吹く音。
  枝も栄ゆる若緑、生ひ立つ松に巣をくふ鶴の、
  久しき御代を祝ひ舞ふ。

  秋はなほ月の景色も面白や、梢々にさす影の、
  臥しどにうつる夕まぐれ、そともは虫の声々に、
  かけて幾代の秋に鳴く、音を吹き送る嵐につれて、
  そよぐは窓のむら竹。


窓に立ち込める霞を春の道案内者として、長閑な新年の日の光に今はもう立春である。今頃三津に来た鶯は、南から次第に咲き初めた梅の木の香りに誘われて山路を分けてきたのであろうか、その声は何と麗らかなことであろう。

鶯が羽ばたく風に梅の花が散っている。花の色香も他所よりは一層見栄えがあるこの里、浪花は梅の名所である。

君が代はいつも濁ることなく清らかな水の絶えない皇居のお濠のように、また流れる水の末の国民も平和で豊かな日本を慶賀している。

齢千年といわれる常盤の松の木も、この平和な今の世のめでたさに引かれて、さらに幾年と限ることなく、枝に当たる風が嵐のように聞こえるであろう。繁茂する若緑の葉の生いたつ松に、巣くう鶴が久しい御代を祝って舞う。

秋は月の景色はとりわけ面白い。木々の梢に射す月影の、臥床にうつる夕まぐれ、戸外は虫の声々が年毎の秋に鳴いている。嵐を吹き送る風につれて、窓下の竹叢はさざめくようにさらさらと音を立ててそよいでいる。

解説
[調弦]
三絃:一下り-本調子-高二上り
箏:平調子(大阪)
  低半雲井調子(京都)

[作曲]
三橋勾当


[他]
二上り手事物。「三役物」「大阪十二曲」の一つ
前後に二回の手事がある。吉祥の象徴とされる松・竹・梅の三つの主題を春から秋にかけての時間的推移にしたがって配した祝儀曲。
後の手事はマクラ(カカリとも)と手事三段からなり、手事初段から巣籠地を合わせる。山田流への移植は山木検校といわれ、短い前弾があり、半雲井調子で出る。早くから胡弓入り三曲合奏としても行なわれ、地域・派によってさまざまな胡弓の手がある。
他の曲との打合せ曲としても用いられ、『菊の朝(菊植明琴)』・『金のなる木(菊高検校)』・『磯千鳥(菊岡検校)』・『椿尽し(松島検校)』などとの合奏も行なわれ、後歌の途中から『六段の調』の初段を合わせることもある。
同種の題材を扱った曲は『新松竹梅(菊沢検校)』・『文明松竹梅(菊高検校)』・『明治松竹梅(菊塚与市)』・『昭和松竹梅(宮城道雄)』など。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/shouchikubai.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

笹の露

地唄FAN管理人です。

本日は「笹の露」をアップ致します。 「四季の眺」と同じ中能島 欣一師、富山 清琴師による演奏です。
「コメントはちょっと」と言う方も、気軽に「気持ち玉」の貼り付けをしていただけると有りがたいです。よろしくお願いします。
唄・三絃 富山 清琴師
唄・箏 中能島 欣一師
による演奏です。


14AB01


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

笹の露(ささのつゆ)


一 酒は量りなしと宣(のたま)ひし、聖人は上戸にやましましけん。
  三十六の失ありと諌め給ひし仏は、下戸にやおはすらん。
  何はともあれ八雲立つ、出雲の神は八しぼりの、
  酒に大蛇を平げ給ふ。これみな酒の徳なれや。

二 大石さけつる畏みも、帝(みかど)の酔(えい)の進めなり。
  姫の尊の待ち酒を、ささよささとの言の葉を、
  伝へ伝へて今世の人も、きこしをせささ、きこしをせささ。

三 劉伯倫(りゆうはくりん)や李太白(りたいはく)、酒を呑まねばただの人。

四 吉野龍田の花紅葉、酒がなければただのとこ。
  よいよい、よいの、よいやさ。


1.酒は呑んでも適量に飲むべしと仰せられた昔の聖人は、酒に親しんだ人であったろう。酒を呑むと三十六の失敗をする原因となると諌められた仏様は、多分酒を御飲みにならなかったのであろう。何はともあれ、スサノオノミコトが、強い酒でヤマタノオロチを退治したのも、これは酒の力ではあるまいか。

2.応神天皇が御酒を召し上がってよい気持ちになり、道の傍らの大石を御杖でお打ちになったところ、堅い石すら走り避けたということも、酒の酔の元気がさせた業ではあるまいか。神功皇后が御子応神天皇の無事なお帰りを祈って作った待ち酒をささという言葉で代々伝え、今の世の人も酒のことをささと言い、ささを召し上がれをいう。

3.劉伯倫や李太白のような中国の詩人は、大の酒好きであったから有名になったので、酒飲みでなかったら、普通の詩人や学者に過ぎないであろう。

吉野山の桜や竜田川の紅葉も、酒を携えて見物するから興も起きて有名になったので、酒がなければ普通の名所ではないか。

解説
[調弦]
三絃:本調子 - 二上り - 高三下り
箏:半雲井調子 - 平調子 - 中空調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
島田両造

[他]
京風手事物。別名「酒」
酒にまつわる様々な故事・伝説を引いて、酒の功徳をたたえたもの。
手事は前後二回あり、いずれも手事・中チラシ・本チラシの構成。箏と三絃の掛け合いが70回近くあり、しだいに酔いがまわって高潮していく様を描く。
かつての許し物。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/sasano_tsuyu.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

袖香炉

地唄FAN管理人です。
しばらく手事物が連続しましたので、本日は「袖香炉」をアップ致します。 「融」とはまた違った地唄の魅力あふれる作品・演奏と思います。 峰崎勾当の端歌物として、気に入っておられる方も多いのではないかと思います。
「コメントはちょっと」と言う方も、気軽に「気持ち玉」の貼り付けをしていただけると有りがたいです。よろしくお願いします。

藤井 久仁江師による演奏です。


14AB02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

袖香炉(そでこうろ)


  春の夜の、闇はあやなし、それかとよ、
  香やはかくるる梅の花、散れど薫りはなほ残る。
  袂に伽羅(きやら)の煙り草。きつく惜しめどその甲斐も、
  なき魂衣(たまごろも)ほんにまあ、柳は緑、紅の、
  花を見すてて帰る雁。


春の夜の闇は、梅の花を隠して見せないけれども、香りは隠すことは出来ない。花は散っても薫りはなお残っている。故人は亡くなってもその衣服の袂に、伽羅の香りが漂っているように、その名は消えない。大変惜しんでみたが、今更その甲斐はない。ホントにまあ、柳は緑、花は紅と楽しめば楽しめた世の中を、どうして黄泉の国に旅立ってしまったのか。それは時節が来れば、咲いている花に背を向けて、帰るべき国に飛び去って行く雁のようなものであるのか。

解説
[調弦]
三絃:二上り

[作曲]
峰崎勾当

[作詞]
飾屋治朗兵衛


[他]
二上り端唄。
1785年に没した峰崎勾当の師の豊賀検校を追善して、伽羅の香をたくさまを詠う。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/sodekouro.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

地唄FAN 管理人です。

本日は「融」の演奏をアップ致します。
これで一応「石川の三つ物」は揃ったことになります。いずれも大曲ですが素晴らしい曲揃いです。
「コメントはちょっと」と言う方も、気軽に「気持ち玉」の貼り付けをしていただけると有りがたいです。よろしくお願いします。
唄・三絃 富山 清琴師
箏 富山 清隆師
による演奏です。


09B01

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

あの籬が島の松陰に、明月に舟を浮かべ、月宮殿の白衣の袖も、三五夜中の新月の色、
千重振るや、雪を廻らす雲の袖。

さすや桂の枝々に、光を花と散らす粧ひ。ここにも名に立つ白河の、
波の、あら面白や曲水の盃、うけたりうけたり遊舞の袖。あら面白の遊楽や。

そも明月のその中に、まだ初月の宵々に、影も姿も少なきは、如何なる謂はれなるらん。

それは西岫に、入り日の未だ近ければ、その影に隠さるる、
たとえば 月のある夜は、星の薄きがごとくなり

青陽の春の始めには、霞む夕べの遠山、眉墨の色に三日月の、影を舟にもたとへたり。
また水中の遊魚は、釣り糸とも疑ふ、 雲上の飛鳥は、弓の影とも驚く、 
一輪も降らず、万水も昇らず、 鳥は地辺の樹に宿し、 魚は月下の波に伏す。

聞くとも飽かじ秋の夜の、 鳥も鳴き、
鐘も聞こえて、月もはや、影傾きて明け方の、雲となり雨となる。

その光陰に誘はれて、月の都に、入り給ふ粧ひ、
あら名残惜しの面影や、 あら名残惜しの面影や。


<訳>
澄み渡る月の夜,あの塩竃の籬が島の松の陰に舟を浮かべ、天上人の白衣の袖も、八月十五日の十五夜の月の色のよう。雪を降らせる雲のように、真っ白の袖を幾重にも振る。
月の光が差した桂の枝々の、その光が花のように散らばる風情。ここ京都にも名高い白河の、曲水の宴の波に浮かぶ盃を夜遊の舞の袖に受けよう。何と趣の深い遊楽であることか。
そもそも冴えわたる月の、八月初めの月の宵々に、月の影や姿が薄いのはどういうわけであろうか。
それは西の山頂に太陽がまだ沈む前、その日の光の影に隠されるからである。月の出ている夜には星が薄いのと同じことである。
春の初めには、霞む夕べの遠山に、また遠山のその眉墨のような色をした三日月の影は、舟に喩えられる。
水中の魚たちは釣り針かと疑う。雲の上を飛ぶ鳥は、弓の影かと驚く。しかし実際は月は遠山には降りて来ず、海も月(舟)に向かって昇って行かない。依然として鳥は地上の樹に住み、魚は月下の波に潜む。
聞けば聞くほど興味の尽きない秋の夜から、やがて鳥が鳴き、鐘も聞こえて、月もすでに影が傾いて、明け方の雲となり雨となる。
その光陰に誘われて、融大臣が月の都にお入りになるご様子。何と名残惜しい面影か。何と名残惜しい面影か。


<解説>
能「融」の後ジテ(前ジテは塩汲みの老人)の出のサシ謡の後半からあとをそのまま詞章にしたものである。前弾きには三味線組歌「揺上(ゆりかん)」による手が用いられている。融の大臣の霊が遊舞の楽を舞うといった内容のものであるが、いわゆる妄執の念はない。むしろ華麗な趣のもので、地歌における狭義の”亡霊もの”とは認めがたい。
(平野健次)


能の物語は、六条河原の院を訪れた僧の前に塩汲みの老人が現れ、院のいわれを語る。
嵯峨天皇の時代、源融大臣は日本三大名所の一つである陸奥の千賀の塩竈の景色を「六条河原院」に再現し、難波から毎日海水を運ばせ、大臣自らその海水を汲んで塩を焼いて風雅な趣を楽しんだ。しかし、融大臣の死後は、「月もはや出汐になりて浦寂わたる景色かな。」と語るうちに汐汲みの老人は感極まって、融大臣の栄華を語り始める。
 老人は京都を取り囲む名所、東の音羽山から南の深草山まで眺め、伏見の竹田、淀、鳥羽、更に小塩の里、嵐山まで見渡し、担桶(たご)を荷い、やがて汀に出て塩を汲むと、姿を消す。

後段。僧の夢の中で、煌めくばかりの融大臣が現れ、満々と海水をたたえた河原の院で、「初月」「三日月」に照らされながら、曲水の宴で遊舞を舞う。
やがて夜明けと共に消え去ってゆく。
 
 「月もはや、出汐になりて」(満潮の上げ潮)と汐汲みの老人(融の化身?)は現れ、月は満月から初月、三日月と変わり、「月もはや影傾きて」と融の幻は消えてゆく。「融」全曲を通して、月の幻想的なイメージがつきまとう。月光に照らされ、曲水の宴での早舞の融(光源氏のモデルともいわれる)の姿が月と一体化し、幽玄の世界に引き込まれてゆく。

「古今集」巻十六(哀傷)、「伊勢物語」八十一段、「今昔物語」巻二十七に関連の記述がある。 




地歌・箏曲。本調子手事物。謡い物。石川勾当作曲、市浦検校箏手付。

「石川三つ物」の一つ。大阪で廃絶した箏の手が京都の伏見に伝えられ、それが大阪・九州などに伝承されたことから「伏見物」ともいう。謡曲「融」の後ジテの出のサシ謡の後半以下をそのまま歌詞とし、源融の遊狂と詠嘆に寄せて秋の夜の情趣を歌う。手事は前後二回あり、三味線組歌「謡上(ゆりかん)」による前弾が付く。最初の手事は能の盤渉早舞に対応する。後の手事は二段(初段をマクラという派もある)からなり、マワシ撥が多用される。派によって寸法に異同があり、九州系では前弾は多少短く、後の手事も二段目のみを演奏。

三弦  低本調子-二上り-三下り-本調子。
箏   半雲井調子-平調子-中空調子。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/tohoru.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

五段砧

地唄FAN管理人です。

本日は五段砧をアップ致します。
唄・箏低音 米川 文子師
箏高音 米川 文勝之師
による演奏です。


12A02

別演奏を追加致します。(2010/5/26)
唄・箏高音 野坂 操寿師
箏低音 野坂 恵子師
による演奏です。


12B02

本日は筝・福田 千栄子師、  尺八・坂田 梁山師による演奏を追加いたします(2010/8/26)
尺八をやらない人間には非常に不思議に感じる演奏ですねぇ。




本日は萩原 正吟師による演奏を追加致します。 (2011/10/23)
三絃が入っていて不思議?と思われる方もいらっしゃると思います。 


34AB01

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

五段砧(ごだんぎぬた)


  花はよし野よ、紅葉は高尾、松は唐崎、霞は外山、
  いつも常磐のふりはさんざ、しほらしや、とにかくおもはるる。


花の代表的なものは、吉野山の桜であろう。紅葉の名所は高尾に勝るところはない。松は唐崎の松、霞は外山。いつも常磐の身振りは物静かでしなやかに、今もやさしく思い出される。


解説
[調弦]
箏本手:平調子
箏替手:本雲井調子
三絃:本調子(京都)

[作曲]
光崎検校

[作詞]
『三段獅子』の前唄

[他]
砧物。
四段構成の砧を発展させて、五段構成とした。本手替手の高低二部合奏形式。本手は『砧』の四段目までを基本に、五段目に『六段の調』の五段目を合成・改作。山田流では『六段すががき』の後歌をそのまま後歌として付すこともある。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/godan_ginuta.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

芦刈

地唄FAN管理人です。

今回は「芦刈」をアップ致します。
唄・三弦 藤井 久仁江師、 胡弓 横井 みつゑ師のお二人です。




色々見ましたが、あまり曲の情報が無く、暫定的に下記を掲載致します。

皆様如何お過ごしでしょうか? 地唄FAN管理人です。
本日は富山 清琴師演奏による「芦刈」を追加致します。(2011/11/6)



32AB03


~名に高き、難波(なにわ)の浦の夏景色、風に揉(も)まれし芦(あし)の葉の、
さはさはさはと音(おと)に聞く。(合)
ここには伊勢の浜荻(おぎ)を、よしや芦とは誰(た)が付けし。(合)
~我れは恋には狂はねど、恋といふ字に迷ふゆゑ、さりとては白鷺(しらさぎ)の、
とどまれ止まれと、招く手風(てかぜ)に行き過ぎて、(合)
またも催(もよお)す浜風に、芦も騒(さわ)だつ機の波、松風こそはざざんざ。


「伊勢の浜荻」は、伊勢の浜辺に生えている荻のことであるが、伊勢地方では、アシのことを浜荻というとして、アシの異称としても用いられる。
「よし」は、「善し」と「芦」とを掛け、さらに、「たとえ」「かりに」などの意の副詞「よしや」をも掛ける。「芦」は、「悪し」に通ずるので、これを忌んで「よし」ともいう。
「恋には狂はねど、恋といふ字に迷ふ」というのは、結局「恋は曲者」「恋は思案の外」などと同様、恋が常識では律しきれないどとをいう。
「白鷺の」は、「知ら(ず)」を掛ける。
「手風」は、手を動かすにつれて生じる風。
「ざざんざ」は風ないし雨・みぞれの昔の擬声語であるが、狂言小歌をはじめ、俗謡に用いられる囃子言葉、ないし、それを用いた「ざんざ節」のことをもいう。ここでは、松風が、本来のざざんざであるという。
 浄瑠璃では、享保 12年(1727)大坂豊竹座初演の並本宗輔・安田蛙文作、初世野沢喜八郎作曲の「摂津国長柄人柱(せっつのくにながらのひとばしら)」の五ノ切の景事を「芦刈笠の段」といい、この部分は、能「芦刈」(四番目物。世阿弥作とされる)の翻案といえる。
 井上流京舞では、二世井上八千代がこの義太夫地の「芦刈笠の段」を振付ているが、地歌の「芦刈」も初世八千代によって振付けられている。
 他の流では、地歌の方のみで、後半の二上りの「~我れは恋には・・・」以下の部分のみ舞う。  別題「新芦刈」ともいうが、地歌・箏曲で、この曲に先行する「芦刈」という曲名のものはない。能、あるいは、それから出た浄瑠璃などに対して、「新」の字を冠するものかもしれない。



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

八重衣

地唄FAN管理人です。

今回は「八重衣」をアップ致します。 
唄・三絃 阿部 桂子師
筝     藤井 久仁江師
尺八   青木 静夫師
によるものです。
この演奏は私が本格的に地唄の古典を聴き始めるきっかけになった思い出深い演奏です。
全体的に全く緩みの無い素晴らしい演奏だと思います。
藤枝 梅安様は以前『私は「八重衣」がきらいなんですが、どうしましょう。名曲といわれているのに。なんかだらだら長いというイメージで寝てしまいます。完全に。爆沈。いつかこのサイトで同じように苦手意識を克服できる日が来ることを切に願っております』と書かれてますが、この演奏をお聴きになることで苦手意識を払拭していただけると良いのですが・・・ 
ブログの登録曲もそこそこ充実して来ましたし、今回の様な大曲を皆様にじっくり聴いていただくために、次の曲のアップは2週間以上先にしたいと思います。その期間でも「八重衣」や既にアップしてある曲を聞きなおしてのコメントは大歓迎ですので、よろしくお願いいたします。


04AB01

本日は「八重衣」に米川 文子師の演奏を追加いたします。録音時点は良く分かりませんが、モノラル録音によるものです。(2010/6/13)
唄・箏 米川 文子師
三絃 米川 文勝之師
による演奏です。


18AB01

本日は「八重衣」に唄・三絃 富山 清琴師、唄・箏 菊原 初子師の演奏を追加いたします。(2010/6/30)
唄・三絃 富山 清琴師
唄・箏 菊原 初子師
尺八 山本 邦山師
による演奏です。


09A02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
八重衣(やえごろも)


一 君がため 春野に出でて 若菜摘む
  わが衣手に 雪は降りつつ

二 春過ぎて 夏来にけらし しろたへの
  衣ほすてふ 天の香具山

三 みよしのの 山の秋風 小夜ふけて
  ふるさと寒く 衣うつなり

四 秋の田の かりほの庵の とまあらみ
  わが衣手は 露にぬれつつ

五 きりぎりす 鳴くや霜夜の さくしろに
  衣かたしき 独りかも寝ん


1.『古今和歌集』 光孝天皇
あなたにさし上げたいと思って、まだ春も浅い野辺に出て、若菜を摘んでいると、私の着物の袖に、ちらちら降る雪がかかっている。

2.『新古今和歌集』 持統天皇
もう春も過ぎて、いつの間にか夏がやってきたらしい。濃い緑色に包まれた天の香具山の辺りに、真白な着物が干してあるのが点々として見える。

3.『新古今和歌集』 藤原雅経
吉野山を吹き渡る秋風が、夜の更けて行くにつれて身にしみ、山の懐に抱かれて眠る急と吉野の里も静まり返って、砧を打つ音が寒そうに聞こえて来る。

4.『後撰和歌集』 天智天皇
黄金色に熟れた稲穂が、冷たい秋風にさらさらと音を立てている秋の田の辺に、仮に造った小屋に番をしていると、その屋根に吹いたとまが荒いから、隙間から冷たい夜露が、しきりに洩れて私の着物を濡らす。ああ、つらいことだ。

5.『新古今和歌集』 藤原良経
こおろぎが鳴いて、霜の降りるこの寒い夜に、筵の上に片袖を敷いて、淋しく独りで寝るのか。侘しい限りだなあ。

解説
[調弦]
三絃:本調子
三絃替手:本調子-三下り-本調子-三下り-本調子
箏:半雲井調子-中空調子-平調子-半雲井調子

[作曲]
石川勾当
箏手付け:八重崎検校

[他]
京風手事物。「石川三つ物」の一つ。
「小倉百人一首」から「衣」の語を含んだ和歌五首を四季の順に配し、最後の歌のみ下の句を反復させる。
手事は前後二回あり、箏の左手のハジキが多用される。
前の手事は、手事・中チラシ・手事・本チラシからなり、砧を描写。光崎検校の『五段砧』に影響を与えたという。
後の手事は、手事・後チラシの構成で、三絃と箏の騒音的効果を組み合わせて虫の音を表現したものとされる。後チラシは「百拍子」といわれる手。
三絃本調子で通すところが難曲とされる所以。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/yaegoromo.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

四季の花

地唄FAN管理人です。

4月いっぱい継続してきた初心者向けの曲のシリーズも今回で一旦終了です。最後は何にしようかと考えましたが、菊原 初子師演奏による「四季の花」と致しました。「何故?こんな小さな曲を最後に?」と感じられる方もおられると思いますが、聴いていただけると管理人の思いが何となく理解いただけるのではないかなと思います。

実は今回色々と探している内に、以前から持っていながら聞いていなかったこの演奏を見つけて様々な感慨を持ちました。曲名も完全には定かでないのですが、確かこの様な名前だったと思います。作曲者も良く分かりません。

確かにこの曲は私も最初に習った覚えがあります。(完全に忘れてましたが・・・)
しかしこの演奏を聞いた途端に思い出し、正に「遠く時間の彼方に行ってしまった自分の過去と向き合う」様な不思議な感覚でした。なんだか懐かしいような、寂しいような、悲しいような・・・

菊原 初子師はどんなお気持ちで演奏されたのかなぁなどと想像してしまいました。




歌詞はあまりにも簡単なので、掲載の必要もないでしょうが・・・


春は花、夏は橘、秋は菊、冬は水仙 梅もどき


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

筆のあと

地唄FAN管理人です。

皆様沢山コメントしていただいて、本当に有難うございます。本日は藤井 久仁江師による「筆のあと」をアップ致します。色々とインターネット上を探し回ったのですが、この曲に関しては歌詞も作曲者も見つけることが出来ませんでした。今回は早めにアップして、皆様のご協力を得たほうが良いなと考えた次第です。各種情報が分かりましたら、なにとぞお知らせください。よろしくお願いいたします。
まずは一旦付帯情報なしでアップさせていただきます。




上記のような形でアップさせていただきましたが、早速ありす様から歌詞・解説を頂戴いたしました。やはり私がうろうろと探しているよりはよほど皆様にご協力をお願いしたほうが、早かったです。

ありす様 本当に有難うございました。
なおご注意いただいた点に気をつけて、掲載いたしましたがこれで大丈夫でしょうか?ご確認いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。


(2011/3/06)
地唄FAN管理人です。皆様如何お過ごしでしょうか? 本日は阿部 桂子師演奏による「筆のあと」の別演奏をアップ致します。
唄・三絃 阿部 桂子師
箏 藤井 久仁江師
による演奏です。


21B03


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

[歌詞]
千代までと、祈る誓ひもとにかくに、味気(あじき)なき世の我が涙、
汲むも汲まぬも知る人ぞ、知るか知らぬか夢の世の、
憂き嬉しさをふり捨てて、清く返るや春過ぎて、
散り行く花と知る身にも、その垂乳根(たらちね)ともろともに、
繰り返し見る筆の跡。


[調弦] 本調子

[作曲] 不詳

[作詞] 不詳

[解説]
亡き夫の遺した筆の跡をみて偲び嘆かずにはいられないという妻の心情を歌ったもの。 「筆の跡」と題する端歌には3種ある。最も古いのは三下りで「咲く花の~」という唄いだしの物で、寛延(1748~51)以前の成立。天明(1781~89)頃まで大阪のみに行われた。天明以後に行われた形跡はない。天明2(1782)年刊の『歌系図』によれば、前藤谷勾当作曲で、『綾衣』の作曲者の藤谷勾当とは別人と思われる。 もう一つは文化・文政(1804~30)頃に行われたもので、「新筆のあと」とも題し、今藤永検校作曲とされるが、 1794年登官の城富か、あるいは1809年登官の高重一(のちに城富と改名)どちらかは不明。これは二上りで「水茎の~」という歌いだし。この藤永は、「八千代獅子」の藤永検校城和(1757年登官)とは当然異なる。 現在行われている物はこの「千代までと~」という歌いだしの本調子端歌であるが、寛政(1789~1801)以降の京都系の歌本 (『大成糸の節』の類)にのみ収録されており、あるいは「京端歌」かとも思われる。もっとも京都でも伝承が途絶え、名古屋に移されたものらしく、名古屋系の嘉永6(1853)年の歌本『浜の真砂』に収録されている。歌詞内容からすると、あるいは追善曲か?



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表






春の曲

地唄FAN管理人です。

たまたま名古屋直系の検校が演奏している「春の曲」(あと古今組全曲)が手に入りましたので、まずは季節がら「春の曲」を緊急でアップ致します。大昔に土居崎検校の古今組の演奏を聴いたことがあるのですが、その筝の音の清新さ、澄んだ響きに感動した覚えがあります。この三品 正保検校の音色も全く同じ印象を持ちます。

皆様はどの様にお感じになるでしょうか?




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
春の曲(はるのきょく)


一 鶯の 谷よりいづる 声なくば
  春くることを 誰か知らまし

二 深山には 松の雪だに 消えなくに
  都は野辺の 若菜つみけり

三 世の中に たえて桜の なかりせば
  春の心は のどけからまし

四 駒なめて いざ見に行かん ふるさとは
  雪とのみこそ 花の散るらめ

五 わが宿に さける藤なみ たちかえり
  すぎがてにのみ 人の見るらん

六 声たえず なけや鶯 ひととせに
  ふたたびとだに 来べき春かは


1.『古今和歌集』 大江千里
もし鶯が谷から出て鳴く声がなかったなら、春が来ることを誰が知ろうか。

2.『古今和歌集』 読人しらず
深山では、松の木に積っている雪さえまだ消えていないのに、都では野辺で若菜を積んでいる。

3.『古今和歌集』 在原業平
世の中に、全く桜がなかったなら、春の頃の人の心を悩ませることもなく、却って長閑であろう。

4.『古今和歌集』 読人しらず
馬に乗り連れて、さあ旧都の奈良に桜を見に行こうではないか。しかしながら、今頃は雪のように、花は散っていることであろう。

5.『古今和歌集』 凡河内躬恒
わが宿に咲いている藤の花を、往来の人々はどうして戻ってきたりして、過ぎかねているのであろうか。

6.『古今和歌集』 藤原興風
鶯よ、声を絶やさずに、今年は十分に鳴いてくれ。二度と再び来るはずのないこの春ではないか。

解説
[調弦]
箏:古今調子

[作曲]
吉沢検校



[他]
新組歌。「古今組」の一つ。
「古今和歌集」春の部の和歌六首をそのまま歌詞とし、早春から晩春にかけて六歌に配列して組歌としたもの。必ずしも古典的な組歌の形式には従わず、各歌の拍子数は一定しない。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/haru.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

楫枕

地唄FAN管理人です。

本日は「楫枕」をアップ致します。演奏は太田 里子師です。




皆様 積極的にコメントしていただき、本当に有難うございます。新たに来られた方も気軽に何でも書き込んでいただけると有り難いです。他の方がかなりお詳しいので気後れされるかもしれませんが、気にせず「聴いたよ」 「こんな曲は無いのか?」 「こんな演奏は無いのか?」とだけでも結構ですので、気軽にどうぞ。管理人としては今後の方向性を決めていくのに、とても参考になるのです。よろしくお願いします。

なお、4月に入ってから集中的に続けてきました「初心の方が練習されることの多い曲」もこの「楫枕」で一段落です。実際にはもう少し続きますが、大物はこれで一区切りついたかなと言う感じです。4月中は若干追加などを致しますが、5月からはまた少し趣向を変えて行くつもりですので、よろしくお願いいたします。

本日は菊原 初子師の演奏による「楫枕」をアップ致します。これもなかなか良い演奏ですよ。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
楫枕(かじまくら)


  空艪(からろ)押す水の煙りの一かたに、靡きもやらぬ川竹の、うきふし繁げき、
  繁げき浮寝の泊り舟。よるよる身にぞ思ひ知る。
  浪か涙か苫洩る露か、濡れにぞぬれしわが袖の、絞る思ひをおしつつみ、
  流れ渡りに浮れて暮らす、心尽くしの楫枕。
  さして行方の遠くとも、つひに寄る辺は岸の上の、松の根堅き契りをば、
  せめて頼まん頼むは君に、心許して君が手に、繋ぎとめてよ、
  千代よろづ代も。




急がず気ままに漕ぐ舟の艪の、水煙のあがる彼方に靡きもせず一筋に進んでゆくように、遊里の女たちは、籠の鳥のような自由のない世界に、物憂い毎日を過ごしている。彼女たちは船の上で仮寝をしているのに似て、落ち着かないその日その日の辛さ侘しさは、この身にもひしひしと感じられてくる。波のしぶきか、わが涙か、または舟の屋根からもれて落ちた露か、自分の袖が悲しさの涙で絞るほど濡れているのに、日夜客を相手に浮れて憂い日に心を砕かねばならない。しかし、たとえ遠い将来であっても、是非この世界から逃れ出て、わが一生を頼むべき人と、浜辺の松の根のように堅い契りを結び、自分の心のすべてを君に捧げて、永く安らかな生活を送りたいものである。

解説
[調弦]
三絃:本調子-二上り
箏:半雲井調子-平調子

[作曲]
菊岡検校(吉村検校?)
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
橘遅日庵

[他]
京風手事物。
遊女の儚い身の上を舟の旅寝にたとえ、頼む人に身請けされたいと願う心を歌ったもの。
手事は二段からなり、各段64拍子なので段合わせが可能。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/kajimakura.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

儘の川

地唄FAN管理人です。
本日は「儘の川」をアップ致します。演奏は藤井 久仁江師によるものです。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

儘の川(ままのかわ)


  夢が浮世か浮世が夢か。
  夢てふ廓(さと)に住みながら、人目は恋の思ひ川、
  嘘か情(なさけ)も唯だ口先で、一夜流れの妹瀬(いもせ)の川を、
  その水くさき心から、よその香りを衿袖口に、
  つけて通へばなんのまあ、
  可愛い可愛いの鳥の声に、
  さめてくやしきままの川。


この世の中は夢のようなものであろうか、あるいは夢のようなものがこの世の中であるのか。
世間では恋愛の自由な、この遊廓のことを夢の世界といっている。その遊廓に住み、そこに遊びに来る男と、人目には恋愛のように見えても、実は男たちの人情というようなものは、嘘も方便、ただ口先だけのものである。遊びに来る男達は、どうせ一夜妻だという真実のない心から、よその女の香りを衿や袖口に付けてやってきても、何と言うことであろう、そ知らぬ顔で可愛い可愛いといってくれるが、それは明け方になくカラスの声のようなものだ。愚かにもそれを真に受けて、後でそれがわかって悔し涙にくれる。どうせなるようにしかならない、流れるままに行くほかはない世の中だ。

解説
[調弦]
三絃:二上り
箏:平調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:松野検校

[作詞]
宮腰夢蝶

[他]
京風手事物。
思ひ川、妹背の川、儘の川とならべ、その縁語を綴って遊女の恋を歌う。歌詞の中に作詞者の名が詠み込まれ、冒頭部分が義太夫節の「壷坂霊験記」の「沢市内の段」に用いられることでも有名。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/mamanokawa.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

茶音頭

地唄FAN管理人です。

今回は「茶音頭」をアップ致します。
唄・三絃 富山 清琴師
箏 富山 美恵子師
による演奏です。


13B02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
茶音頭(ちゃおんど)


  世の中にすぐれて花は吉野山。
  紅葉は竜田、茶は宇治の、都の巽、それよりも、
  廓(さと)は都の未申(ひつじさる)。数寄(すき)とは誰が名に立てし。
  濃茶の色の深緑。松の位にくらべては、
  囲(かこい)といふも低けれど、情けあ同じ床飾り、
  飾らぬ胸の裏表、帛紗(ふくさ)捌けぬ心から、
  聞けば思惑違ひ棚、逢ふて、どうして香筥(こうばこ)の、
  柄杓(ひしゃく)の竹は直ぐなれど、そちは茶杓のゆがみ文字、
  憂さを晴らしのはづむかし、昔ばなしの爺婆(じじばば)と、
  なるまで釜の中さめず、縁は鎖の末長く、
  千代萬代(ちよよろずよ)もえ。


世の中に優れているものは、花では吉野山の桜、紅葉では竜田の紅葉、お茶では都の辰巳にあっている宇治の茶であろうが、それよりも都の未申に当っている島原の遊郭の方がなおすぐれている。島原遊廓に行ったからとて、誰が好き者という評判を立てたのであろう。深緑なる濃茶の色、松の位に比べるならば、囲いという名の遊女の身分は低いけれども、男女の愛情には高低はなく私の表は飾ってはいるが、胸の内には表現できない。その胸の中は茶の袱紗のように上手に捌けないのであろうか、聞けばあちらこちらの考えようは、思い違いをしていたようで、あとで逢って良く話を尽さなければならないが、私の心は柄杓の竹のようにまっすぐだけれども、お前様の心は茶杓の柄のようにゆがんでいるのではあるまいか。今は昔。辛かった話も過去の思い出になった。お互いに爺婆となって昔話をするまで釜の湯は冷めないで、縁は鎖のように末永く、千代万代まで無事でいたいものである。

解説
[調弦]
三絃:六下り-三下り
箏:中空調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
『女手前』の要約

[他]
六下り手事物。
「茶の湯音頭」「茶尽し伊勢音頭」とも。横井也有作曲『女手前』を縮約。茶の湯の用語をつづり、男女の仲が末永く続くことを願う。手事は、手事・中チラシ(手事二段とも)・チラシからなる。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/chaondo.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

秋の言葉

地唄FAN管理人です。

本日も続いて筝曲 「秋の言葉」をアップ致します。演奏は藤井 久仁江師によるものです。




地唄FAN管理人です。 「少しずつ涼しくなってきている」と感じる様になりましたが、皆様 如何お過ごしでしょうか?
本日は「秋の言葉」に
唄・筝替手 笠原 古都師
唄・筝本手 川瀬 白秋師
 尺八    岩本 義一師
の演奏を追加いたしました。よろしくお願いいたします。(2010/8/21)


22AB03

地唄FAN管理人です。そろそろ朝夕は秋の気配が濃くなって来ましたので、更新を開始したいと思います。今回は「秋の言葉」に古川 太郎師の演奏を付け加えました。この方は宮城 道雄師の高弟とのこと。惜しいことに肺結核で若くして亡くなられた様です。
私が筝を始めたころに、「男性も歌うのかぁ」と気づかせて下さった方です。





∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

秋の言の葉(あきのことのは)


  散りそむる、桐の一葉におのづから、袂(たもと)涼しく朝夕は、
  野辺の千草におく露の、つゆの情けを身にしるや。
  たれ松虫の音をたてて、いとどやさしき鈴虫の、
  声にひかれてもののふが、歩ます駒のくつわ虫。
  哀れはおなじ片里の、いぶせき賊が伏家にも、
  つづれさせてふ、きりぎりす。
  機織る虫の声々に、合す拍子の遠砧。
  面白や、暮れゆくままの大空に、くまなき月の影清き、
  今宵ぞ秋の最中(もなか)とは、いにしへ人の言の葉を、
  今につたへて敷島の、道のしをりと残しける。


桐の一葉が散り始めて、朝夕の袂を吹く風の涼しさに、おのづから秋が来たことが知られる。
野辺の草草におく露に、男女の愛情を感じることが一入深い。
誰を待つのか松虫が鳴く。
たいへんやさしい鈴虫の声にひかれて、もののふが駒を進めるクツワムシ。秋のあわれはいづこも同じ、辺鄙の田舎のむさくるしい貧しい家にも、つづりさせとこおろぎが鳴く。
機織る虫がきりはたりと鳴く声に、遠くから聞こえる砧の音が拍子を合わせているようである。
ああ秋の自然は面白い。
暮れてゆくままの大空に、満月は清く輝き、この宵は秋の盛りなのであろう。
秋は詩歌の感興がわく。
それを古の人は和歌として今の人に伝えて、道しるべとして残している。

解説
[調弦]
箏:平調子-中空調子

[作曲]
西山徳茂一

[作詞]
池田茂政

[他]
手事物形式による明治新曲。
手事はマクラ・手事二段からなり、虫の音や砧の響など常套的な秋の描写がなされる。本手・替手の合奏としても行なわれる。替手は西山自身のものと、松坂春栄による補作も。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/akino_kotonoha.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表



千鳥の曲

地唄FAN管理人です。

初心の方が必ず習われる曲と言えば「千鳥の曲」も忘れてはならない曲と思います。これまでは三絃を中心とした曲でしたが、筝曲として一般に演奏されるこの曲を今回は胡弓本曲(胡弓と箏の合奏)の形でアップ致します。
唄・筝 阿部 桂子師/藤井 久仁江師
胡弓 横井 みつゑ師
による演奏です。阿部 桂子師は九州系に属する前は名古屋で修行されたと伺っています。よろしくお願いいたします。




本日は名古屋の三品検校による「千鳥の曲」の演奏を追加致します。(2011/10/29)
演奏は 胡弓 三品 正保師、箏本手 三品 千代子師、浅沼 栄子師、 箏替手 今井 勉師による演奏です。





∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

千鳥の曲(ちどりのきょく)


  しほの山 さしでの磯に すむ千鳥
  君が御代をば 八千代とぞ啼く

  淡路島 かよふ千鳥の なく声に
  いく夜寝ざめぬ 須磨の関守


『古今和歌集 七 詠人しらず』
塩山の、さしでの磯あたりにすんでいる千鳥は、君の齢が永く続くように、寿ぎ祈って啼いている。

『金葉和歌集 四 源兼昌』
明石海峡を渡って、淡路島に飛んで行った来たりする、あの千鳥のもの悲しい鳴き声で、この須磨の関守はいく晩目を覚まして、淋しい思いをしたことであろう。

解説
[調弦]
箏:古今調子

[作曲]
吉沢検校(替手も)


[他]
新組歌。「古今組」の一つ。
手事物形式により、替手の手付けも吉沢検校。
楽の手と称する前弾が付く。手事は、マクラ(序)・本手事からなる。
波や千鳥の鳴き声を象徴的に描写する手が用いられることから、マクラを波の部、本手事を千鳥の部ということもある。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/chidori.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表


夕顔

地唄FAN管理人です。

この曲も初心の方の手事物として、必ず演奏するのではないかと思います。阿部 桂子師、藤井 久仁江師による演奏です。(尺八はよく分かりません。スミマセン。 どなたかがまた「音・演奏スタイル」から推定していただけると期待しております) よろしくお願いいたします。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

夕顔(ゆうがお)


  住むは誰。
  訪ひてやみんとたそがれに、
  寄する車のおとづれも、
  絶えてゆかしき中垣の、
  隙間もとめて垣間見や。
  かざす扇にたきしめし、
  空だきもののほのぼのと、
  主は白露光を添へて、
  いとど栄えある夕顔の、
  花に結びし仮寝の夢も、
  覚めて身にしむ夜半の風。


五条あたりの貧しい家に住む女は誰であろう。訪ねてみようと黄昏時に、その家に寄せた源氏の車、しかしこの女は人目を避けて隠棲していたので、他人との交際の車の訪れは絶えてなかった。源氏は好奇心に駆られて、その女の名や素性を聞きたく、見たく、知りたく思って、中垣の隙間からのぞいてみると顔にさしかけて覆った扇に焚き込んだ香の薫りがどことなく漂ってきて、「白露の光をえたる夕顔の花」とか「ほのぼの見つる夕顔の花」と詠ったようにぼんやりと、主の源氏は白露の光に一入美しさを加えて、見栄えある夕顔の花と見えた。その花の女と契りを結んだうたた寝に見た夢も、物怪の出現に破られ、冷めてみれば傍らに休んだ女は失神し、息を絶やしてしまって空吹く夜半の風はいとど冷たく身に染みるのである。

解説
[調弦]
三絃:二上り
箏:平調子

[作曲]
菊岡検校
箏手付け:八重崎検校

[作詞]
不詳

[他]
京風手事物。
「源氏物語」の「夕顔」の巻の内容を簡潔にまとめ歌詞とする。
手事にはマクラもチラシもないが、技巧的な掛合いがなされ、虫の音集く河原院の情趣を表現する。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/yuugao.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表


黒髪

地唄FAN管理人です。

本日は「黒髪」をアップします。喜音院様のブログでも胡弓で演奏されてましたので、この選曲に致しました。
本当に「誰でも一度はやる」超ポピュラーな曲なので、皆様も親しみを持って聴いていただけるのではと思います。まず本日は菊原 初子師による演奏をアップ致します。


・菊原 初子師による演奏




本日は藤井 久仁江師による演奏を付け加えました。(2010/4/25)




本日は富山 清琴師による演奏を付け加えました。(箏との合奏 モノラル) (2010/4/26)




本日は井上 道子師、藤井 久仁江師による演奏を付け加えました。(2010/5/16)




本日は富山 清琴師による演奏を付け加えました。(箏との合奏 ステレオ) (2016/6/28)



24AB03

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
黒髪(くろかみ)


  黒髪のむすぼれたる思ひをば、とけて寝た夜の枕こそ、
  ひとり寝る夜は仇枕。袖はかたしく、つまぢやといふて、
  愚痴なをなごの心は知らず、しんと更けたる鐘の声。
  昨夜(ゆうべ)の夢の今朝さめて、ゆかしなつかしやるせなや。
  積ると知らで、積る白雪。


黒髪のように結ばれた思いは耐え難いもの、君とともに寝た夜は日頃の思いも淡雪の解けてゆくように楽しい。それだけに、独り寝る夜は本当の辛い。片敷く袖を、夫だと私と私の心に聞かせる、おろかな女の心も知らず、しんと更けた夜半に遠寺の鐘が聞こえて来る。やがて楽しい夢路に入ったと思うと、早空は明け渡ってきている。夕べの夢は今は覚めたけれども、思い出すだに懐かしく、やるせない。外には知らぬ間に雪が降り積もっている。それは、私の憂き思いの積るに似ている。

解説
[調弦]
三絃:三下り

[作曲]
湖出市十郎

[作詞]
不詳

[他]
三下り端唄。
「新増大成糸のしらべ」に詞章初出。長唄のメリヤス物として現行される同曲名とは多少の異同がある。初世津山検校が得意として、その歌い方を「津山ぶし」と言ったとも伝えられる。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/kurokami.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表



すり鉢・れん木

地唄FAN管理人です。

皆様 いかがお過ごしでしょうか?
本日はすり鉢・れん木をアップ致します。これも初心の方が習うことの多い曲と思います。
すり鉢(唄・三弦 藤井 久仁江師)、れん木(三弦 阿部 桂子師)による打ち合わせ演奏です。
それではよろしくお願いします。




ありす様 歌詞などの情報をご提供頂き有り難うございました。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

「すり鉢」 (「れん木」との打ち合わせ)
海山を越えてこの世に住みなれて
比翼連理と契りし仲を煙をたつる賤の女が
心々に逢わぬ日も逢う日も夜はひとり寝の
暮れを惜しみてまつ山かずら昼のみ暮らす里もがな

[調弦] 三絃:二上り [作曲] 油屋茂作 [作詞] 二昆都里石

[初出] 享和元(1801)年刊の『新大成糸のしらべ』

この曲は、すり鉢がすりこぎに愛着をしめしたものである。というのは、すり鉢は女性とされ、すりこぎは 男性とされてあるからだが、ここで関西風の家屋の構造を知ってもらわねば、男女の愛着の意味がピンと こないのである。関酉の家屋は表戸を開けると裏まで通り庭になっていて、一番奥はかまどや膳棚、 それからはしり元というのがある。これば餅箱大のもっと深みのある箱形の物に四本の脚がついており、 中ほどに棚があり、箱形の中の隅に水はげの穴があいていて、この中で食器の洗い物をしたり調理もする。 さてすり鉢は昼間使い遺が多いので、すりこぎを入れたままになっているが、夜はすり鉢は棚の上に伏せられ、 すりこぎはしり元の横につり下げられて別々にされる。肝心の夜は別々なので夜のない国はないものかと嘆く というまことにうまい言い回しである。この曲はこれだけならしごく簡単だが、本調子物の『れん木』、 六下リ物の『せっかい』(すり鉢の中の味喀などかき取る、鳥のような形をしたさじ)と三都曲となっていて、 歌詞も曲も違っていながら合奏ができるという、地唄の技巧の研究のほどがよくわかる。

付記:打合せ時は、唄はすり鉢のみ唄われるのが通例 。当時は、「すり鉢」のみ単独でも、端歌として流行した


「れん木」
奥山に、あまた切り出すその中に、
比翼れん木といつ馴れ初めて、煙の種と小原女が、
心尽くしに送る日の、重荷も何の厭うまじ、
君を頭(つむり)に戴きて、足鳴ら摺りこ木、八瀬の里。

[調弦] 三絃:本調子 [作曲] 油屋茂作 [作詞] 二昆都里石

「初出」 文化2(1805)年刊の『歌曲時習考』



★参考「せっかい」
御山路の、杉のきれはし里へ出で、日頃れん木と睦みし仲を、
見損なったぞ私でも。大和言葉に鶯と、名を憂き恋に言はれても、
身をすり鉢の谷間に住まひ、広いや世界、狭うなき。

[作曲] 不明   [作詞]  不明


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表


末の契

地唄FAN管理人です。

一覧表作成にあたっては皆様の絶大なるご支援をいただき大変有難うございます。
藤枝 梅安様が「末の契」を復習しておられるとの事ですので、アップ致します。
演奏は唄・三弦 阿部 桂子師、唄・筝 藤井 久仁江師です。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

末の契(すえのちぎり)


  白波の、かかる憂き身と知らでやは、
  わかにみるめを恋すてふ、渚に迷ふ海女(あま)小舟。
  浮きつ沈みつ寄る辺さへ、荒磯集ふ芦田鶴(あしたづ)の、
  啼きてぞともに、手束弓(たづかゆみ)。
  春を心の花とみて、忘れ給ふな、かくしつつ、
  八千代ふるとも君まして、心の末の契り違ふな。


遊女とは辛い悲しい身の上とはかねて知っていました。若布や海松布を求めて渚にさまよう海女の小舟のように浮きつ沈みつ漂いつつ、寄るべき岸とも頼む人を待っている現在の境遇です。
波の荒磯に群れ集う鶴が鳴いている。自分も一人わびしく泣きたいが、考えれば心は気の持ちようだ。気持ちを大きく強く、希望を持って春の訪れるのを待てば、やがては花の咲く時期のあることであろう。
こんな気持ちの私を忘れないで欲しい。心の内に秘めつつ、いつまでも君の健やかな事を祈っています。あなたも私と心の奥で約束したことを、違わないでください。

解説
[調弦]
三絃:三下り
箏:低平調子

[作曲]
松浦検校
箏手付け:浦崎検校(八重崎検校)

[作詞]
三井次郎右衛門高英(後楽園明居)

[他]
京風手事物。
寄る辺ない恋心を海女小舟になぞらえて、末の契りを願う。
手事はツナギ・マクラ・手事・チラシの構成。三味線組歌『揺上』の前弾三段の手が取り入れられている。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/suenochigiri.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表

作曲者別一覧表 

現時点で「地唄FAN」ブログに掲載されている曲の作曲者を掲載しました。一旦この形で掲載させて頂きますが、皆様からのご意見を頂戴できればと思います。 よろしくお願い致します。


油屋茂作
京都の旦那衆。 『すり鉢』作曲。 『袖の露』 『別世界』・『花の旅』などの峰崎作品の作詞。


在原勾当(?~1867)
山陰出身。大阪で活躍。『松の寿』 『さむしろ』 等。


幾山検校富栄一(1818~1890)
明治以降は幾山栄福と名乗る。鶴岡検校門下で、京風手事物最後の作曲家。箏の手も自作が多い。京都盲唖院顧問。
『磯の春』  『打盤』・『横槌』  『影法師』  『川千鳥』  『新玉鬘』  『萩の露』(2)など。


石川勾当
19世紀後半京都で活躍。技巧的な三絃の作品に優れていたが、晩年は孤独だったと伝えられる。
自作曲(手事物)
  『八重衣』(3)(八重崎検校箏手付)   『新青柳』(八重崎検校箏手付)   『融(とおる)』(市浦検校箏手付)
    以上を「石川の三つ物(三大名曲)」と呼ぶ。
  『新娘道成寺』(6)(宮原検校箏手付)
三弦替手手付
  『吾妻獅子』(峰崎勾当作曲)   『玉川』(菊岡検校との共作ともいう。国山勾当作曲)   『八段の調』(八橋検校作曲


石村検校(?~1642)
三味線初期の大成者。三味線組歌表組7曲の作曲者。
『琉球組(りゅうきゅうぐみ)』  『鳥組(とりぐみ)』  『腰組(こしぐみ)』  『不祥組(ふしょうぐみ)』  『飛騨組(ひんだぐみ)』  『忍組(しのびぐみ)』  『浮世組(うきよぐみ)』


歌木検校ふさ一
大阪の佳川検校門下。長歌や繁太夫物の他、俳諧調や浄瑠璃調の歌詞を用いた新傾向の端唄提唱者。『菜の葉』 『綾鶴』 『かくれんぼ』 『桂女』 『通ふ神』 『言葉質』 『露の蝶』(2)など。


菊岡検校楚明一(1792~1847)
一山検校門下で、光崎検校と同門、15歳で検校に投官した三絃の名手で、箏の八重崎検校と共に京風手事物の代表者。。
地歌曲・手事物
『茶音頭』  『楫枕』(2)  『磯千鳥』  『長等の春』  『笹の露』  『梅の宿』  『御山獅子』  『園の秋』  『今小町』  『夕顔』  『船の夢』  『里の春』(以上八重崎検校箏手付)
『梅の匂』  『ままの川』(松野検校箏手付)
『けしの花』
長歌物
『竹生島』  『老松』
端歌物
『玉のゆくえ』  『大和橋』

菊末勾当(1852?~1892)
山陰の出身で、大阪で活躍。菊池派の菊久検校の弟子。継山流箏曲家で、明治新曲の先駆者。『嵯峨の秋』など。


菊塚与市
(1846~1909)
菊仲繁寿一門下で、明治新曲の代表者。『新玉の曲』・『巌上の松』・『住吉詣』・『蝶の夢』・『松の栄』・『三つの景色』・『明治松竹梅』など。

菊平勾当
幕末に大阪で活躍。『歌恋慕』 『袖の雨』ほか。


岸野次郎三郎
通称次郎三。17世紀末から18世紀初頭に活躍。京都祇園の茶屋井筒屋の主人で歌舞伎の三味線方。地歌の芝居歌物の作曲で知られる。
『狐火』  『狐会(こんかい)』(2)  『里景色』  『関寺小町』  『古道成寺』(2)  『放下僧』  『六段恋慕』など


杵屋長右衛門
葛山四郎兵衛との合作で 芝居歌物 『青葉』 を作曲。なお『青葉』の作曲者としては、杵屋長五郎との記載もある。


杵屋長五郎
元禄・宝永期の歌舞伎三味線方。『青葉?』  『出口の柳』。 二世長五郎作曲に 『新道成寺』


倉橋検校順正一(?~1724)
生田検校門下で三橋検校、安村検校の師。箏の発展に寄与。組歌『橋姫』復曲。 『新雲井弄斎』 『乱れ?』 『八段の調?』 など。


湖出市十郎(こいで いちじゅうろう)
長唄の唄方。江戸後期に三代ある。三代市十郎は初代または二代の妻とも考えられ、その場合は四代までいたことになる。
【初代】?~寛政十二年(一八〇〇)九月十二日(十五日とも)。江戸期に活躍。俳名は一声。前姓は吉住・岡田・富士田。明和五年(一七六八)湖出と改姓し、翌年立唄となる。安永七年(一七七八)湖出金四郎(二代)を名のったが、すぐに市十郎に戻る。翌年初代中村富十郎にともなわれて大坂に行き評判をとって天明元年(一七八一)江戸へ帰るが、六年ごろまた大坂へ行き、寛政七年(一七九五)湖出一声と改名。江戸では「釣狐」  「白妙」  「種蒔三番叟」  『黒髪』(5) 『十三鐘』(2) 『鳥辺山』(2) などの初演に立唄をつとめ、とくにめりやすが巧みだったという。また、上方に江戸長唄を広めた功績も大きい。


佐山検校本一(?~1694)
柳川検校門下で、江戸で活躍。片撥の奏法による破手組から長歌を創始したといわれる。
原曲『四段砧   (京砧)』  『木やり』  『雲井弄斎』  『恋衣』  『桜尽し』  『小夜衣』  『三段獅子』  『躑躅(つつじ)』 など。


玉岡検校菊之一
大阪で18世紀後半に活躍。繁太夫節を弾きはやらせた。大阪の八重崎検校への追善曲『八重咲』は現行しない。『朝戸出』  『口切』  『鶴の声』(4)


継橋検校城う
野川検校の孫弟子の岡崎検校の弟子で、藤永検校の師。現在は手事物に分類されている新傾向の長唄物の作曲家。
『難波獅子』  『八重霞』など。


津山検校富一
京都の人で深草検校門下。前名、松川勾当、後名、野崎きゝ一。「琴線和歌の糸」・「新曲糸の節」を編集。
『都獅子』 『八段すががき?』 『神楽』 『七草』 『紅葉尽し』 『大和文』など。


西山徳茂一(1857~1898) 
岡山出身で本来は三絃専門。明治初年大阪に出て、4世津山検校門下の徳永徳寿一に師事。
『秋の言葉』(3)  『浪花土産』など。『松の寿』  『住吉詣』の箏手付け。


広橋勾当
18世紀中頃、大阪で活躍。『菊の露』(2) 『八郎兵衛』 『蓬莱』 などを作曲。


深草検校官一
浅利検校門下の早崎検校の弟子で、柳川流中興の祖。 『晒』 三味線組歌『千代の鶯』・『十二月新組』・『新弄斎』・『新七つ子』など。

藤尾勾当
名古屋で18世紀中頃に活躍した三味線の名手。謡曲を題材とする作品が多い。
『鉄輪?』  『富士太鼓』  『虫の音』  『八島』。山田流の山登松齢の『臼の声』の原曲『夏衣』など。


松浦検校久保一(?~1882)
箏は安村検校門下の藤池検校の流れを汲み、自らも組歌「十八公」を作曲したが、廃曲。三絃の名手で、京風手事物の初期大成者。
手事物
『宇治巡り』   『深夜の月』   『四季の眺』   『四つの民』 (以上を「松浦の四つ物(四大名曲)」と呼ぶ)
『若菜』   『里の暁』   『玉の台(うてな)』   『末の契』   『新松尽し』   『鳥追』   『新浮舟』   『三つ恋慕』   『嵯峨の春』
長歌物
『六歌仙』
端歌物
『高雄山』   『水の音』   『菊』
箏組歌
『十八公』


松坂春栄(1854~1920)
京都下派の二世松崎検校門下。津田青寛の師。『墨絵の芦』・『楓の花』・『春の栄』の作曲。吉沢検校の古今組の手事挿入と替手。『秋の言の葉』箏替手。


松野検校正豊一
八重崎検校門下で、二世松崎や光崎と同門。門下に葛原勾当。『老の友』  『儘の川』 などの箏手付け。


光崎検校浪の一
三絃は一山検校門下で、菊岡検校と同門。箏は八重崎検校門下。箏の高低合奏や、段物と組歌の合体など、箏曲に新風をもたらす。三味線組歌を含む楽譜「絃曲大榛抄」出版に協力。『秋風の曲』  『五段砧』(4)  『桜川』  『千代の鶯』  『七小町』  『初音』  『三津山』 『夕辺の雲』 『夜々の星(共作)』など。


三橋勾当
18世紀末から19世紀初頭に大阪で活躍。峰崎勾当と並ぶ三絃手事物の代表者。三上り(一下り)の調弦を考案。『松竹梅』  『根曳の松』など。


峰崎勾当
豊賀検校門下で、18世紀末から19世紀初頭に大阪島之内で活躍。1801年「新大成糸の調」を菊永検校と校訂。大阪の三絃手事物の成立と端唄の発展に寄与。
・手事物
『残月』(3)   『越後獅子』(3)   『吾妻獅子 』   『都獅子』   『有馬獅子』   『玉椿』   『梅の月』   『月』   『翁』
・端歌もの
『ゆき』(3)   『袖香炉』   『小簾の戸』   『袖の露』   『別世界』   『花の旅』   『忍び駒』   『大仏』   『新縁の綱』
『薄雪』  『梅の月』  『花月』など。
『根曳の松』の箏手付け。


八重崎検校壱岐一(1776~1848)
京都で活躍した箏の名手で、替手式箏曲の京風手事物を完成。安村検校門下の浦崎検校の系統に属し、門下の二世松崎以下、京生田流下派につながる。
『磯千鳥』  『今小町』  『宇治巡り』  『梅の宿』  『越後獅子』  『楫枕』  『桂男』  『西行桜』  『榊』  『桜尽し』  『笹の露』  『新浮舟』 『茶音頭』  『四季の眺』  『八重衣(3)』  他多数の箏替手。


安村検校頼一(?~1779)
箏は生田検校門下の倉橋検校の弟子、三絃は柳川流の田中検校の弟子。すぐれた門人が多数。門下の河原崎検校からは京都上派が、浦崎検校からは八重崎検校・松崎検校を経て京都下派が、八重崎検校・松野検校を経て中国系生田流が、藤池検校からは藤池流が、久村検校からは名古屋生田流が、長谷富検校からは山田松黒を経て山田流が、そして石塚検校からは市浦検校を経て大阪新生田流、大塚勾当を経て九州系生田流が生まれる。『飛燕曲』・『七段の調?』

八橋検校城談(1614~1685)
柳川検校と並ぶ三味線の名手として知られたが、江戸に出て、雅楽の流れを汲む筑紫箏を習い、その音階を改良して、半音入りの陰音階による平調子と雲井調子 を考案。箏組歌と段物を創始して、現行の箏曲の基礎を据えた。中でも、箏組歌の創始に当っては磐城平藩内藤風虎の協力があったとされる。
表組
『菜蕗』  『梅が枝』  『心尽』  『天下太平』  『薄雪』  『六段』  『雪晨』
裏組
『雲上』  『薄衣』  『八段の調べ』(2)  『桐壺』  『乱輪舌』(2) 
中組
『須磨』  『雲井弄斎』
三曲
『四季曲』  『扇曲』  『雲井曲』


柳川検校応一(?~1680)
京都柳川流の祖。三味線音楽の始祖石塚検校の弟子とも。その弟子山井検校の弟子とも。三味線組歌の改定と補作。破手組以下の作曲。『待つにござれ』・『長崎』・『葛の葉』・『比良や小松』・『京鹿子』・『下総』・『片撥』・『賊』・『錦木』・『青柳』など。  『早舟』


山田検校斗養一(1757~1817)
山田流流祖。長谷富検校門下で、「箏曲大意抄」の著者山田松黒の弟子。河東節などの江戸浄瑠璃を摂取して、箏の歌曲を創始。
箏組歌『初音の曲』。 『葵上』  『紀の路の奥四季の段』  『小督の曲』  『熊野』  『長恨歌の曲』  『江の島の曲』  『住吉』  『八重垣』ほか。


吉沢検校審一(1808?~1872)
父の初世吉沢検校を師とし、中村検校にも師事して名古屋で活躍。小松景和は孫弟子。雅楽の影響下に、古今調子を考案。国学にも通じ、三味線に従属しない新たな箏曲の道をひらく。
『古今組』 千鳥の曲(2)、 春の曲、 夏の曲、 秋の曲、 冬の曲   『新古今組』 ・ 『蝉の曲』 ・ 『玉くしげ』など。

作曲者が不詳の曲
芦刈(2)、 海女小舟、 おちやめのと、 帯屋、 機関的(からくりまと)、 曲ねずみ、 (古)松尽し、 四季の花、 浪花十二月、 筆のあと(2)


番外編
「富山 清琴師 芸談」
富山 清琴師ご自身による芸談をお聞きいただけます。

「萩原 正吟師を偲んで」  
大村 尚子師による萩原 正吟師の思い出などをお聞きいただけます。


地唄を鑑賞する上で有効と思われるリンク(ご参考)
「長谷検校と九州系地歌」 (くまもと全国邦楽コンクールより)

「雑想と音楽と様々の日々」 (喜音院様主催)

「古典のデータベース」 (千様主催)

尺八の部屋







五十音順一覧表

「地唄FAN」に含まれる曲の五十音順一覧表です。

あ (A)
葵の上 (Aoi no Ue)(2)、 葵の上 (Aoi no Ue)(山田流 (yamadaryu))、 青葉 (Aoba)、 秋の曲 (Aki no Kyoku)、 秋の言葉 (Aki no Kotonoha)(3)、 芦刈 (Ashikari)(2)、 吾妻獅子 (Azuma Shishi)、 海女小舟 (Ama Obune)、 有馬獅子 (Arima Shishi)、 磯千鳥 (Iso Chidori) 、 今小町 (Imakomachi)、 宇治巡り (Uji Meguri) 、 薄雪 (Usuyuki)、  歌恋慕 (Uta Renbo)、 笑顔 (Egao)、 越後獅子 (Echigo Shishi)(3)、 翁 (Okina)、 おちやめのと (Ochiyamenoto)、 帯屋 (Obiy)

か (Ka)
楓の花 (Kaede no Hana)、 影法師 (Kageboushi)、 楫枕 (Kajimakura)(2)、 かづき面 (Kazuki Men)、 鐘ケ岬 (Kane ga Misaki)(山田流 yamadaryu)、 機関的 (Karakurimato)(からくりまと)、 菊の露 (Kiku no Tsuyu)(2)、 木やり (Kiyari)、 京砧 (Kyou Kinuta)、 曲ねずみ (Kyoku Nezumi)、 雲井弄斎 (Kumoirousai)、 黒髪 (Kurokami)(5)、 けしの花 (Keshi no Hana)、 五段砧 (Godan kinuta)(4)、 古道成寺(Ko Doujouji)(2)、 (古)松尽し (Matsu Zukushi)、 狐会 (Konkai)(こんかい)(2)

さ (Sa)
嵯峨の秋 (Saga no Aki) 櫻川 (Sakuragawa)櫻尽し (Sakura Zukushi)、 笹の露 (Sasa no Tsuyu)、 さむしろ (Samushiro)、 晒 (Sarashi)、 残月 (Zangetsu)(3)、  三段獅子 (Sandan Shishi)(2)、 四季の曲 (Shiki no Kyoku)、 四季の眺 (Shiki no Nagame)、 四季の花 (Shiki no Hana)、 石橋 (Shakkyou)、 十三鐘 (Juusann Kane)(2)、 松竹梅 (Syouchikubai)、 新青柳 (Shin Aoyagi)、 新浮舟 (Shin Ukifune)、 新雲井弄斎 (Shin Kumoirousai)、 新道成寺 (Shin Doujouji)(2)、 新娘道成寺 (Shin Musume Doujouji)(6)、 末の契(Sue no Chigiri)、 すり鉢・れん木(Suribachi Rengi)、 袖香炉 (Sodekoro)、 袖の露 (Sode no Tsuyu)、 園の秋 (Sonono Aki)

た (Ta)
竹生島 (Chikubushima)、 千鳥の曲 (Chidori no Kyoku)(2)、 茶音頭 (Tya Ondo)、 躑躅 (Tsutsuji)(つつじ)、 露の蝶 (Tsuyu no Chou)(2)、 鶴の声 (Tsuru no Koe)(4)、 出口の柳 (Deguchi no Yanagi)、 融 (Tooru)、 鳥辺山 (Toribeyama)(2)

な (Na)
長等の春 (Nagara no Haru) 、 七小町 (Nanakomachi)、 難波獅子 (Naniwa Shishi)、 浪花十二月 (Naniwa Juunitsuki)、 菜の葉 (Nanoha)、 二重砧 (Nijuu Kinuta)、 根曳の松 (Nebiki no Matsu)、 

は (Ha)
萩の露 (Hagi no Tsuyu)(2)、 八段 (Hachidan)(2)、 八郎兵衛 (Hachirobyoue)、 初音 (Hatsune) 、 早舟 (Hayahune)、 春の曲 (Haru no Kyoku)、 万歳獅子 (Banzei Shishi)、 飛燕曲 (Hien no Kyoku)飛騨組 (Hindagumi)、 菜蕗 (Huki)、 筆のあと (Hude no Ato)(2)、 舟の夢 (Hune no Yume)、 別世界 (Betsusekai)、 蓬莱 (Hourai)

ま (Ma)
儘の川 (Mama no Kawa)
(古)松尽し (Matsu Zukushi)、 乱輪舌(Midare Rinzetsu)(2)、 三津山 (Mitsuyama)、 都獅子 (Miyako Shishi)、 御山獅子 (MIyama Shishi)、 虫の音 (Mushi no Ne)、 明治松竹梅 (Meiji Syouchikubai)、 紅葉尽し (Momiji Zukushi)

や (Ya)
八重衣 (Yaegoromo)(3)、 八島 (Yashima)、 八千代獅子 (Yachiyo Shishi)、 夕顔 (Yuugao)、 夕空 (Yuuzora)、 夕辺の雲 (Yuube no Kumo)、 ゆき (Yuki)(3)、 四段砧 (Yodan Kinuta)

ら (Ra)
琉球組 (Ryuukyuu Kumi)、 六段 (Rokudan)(3)六段恋慕 (Rokudanrenbo) 

わ (Wa)
若菜 (Wakana)


番外編
「富山 清琴師芸談」
富山 清琴師ご自身による芸談をお聞きいただけます。

「萩原 正吟師を偲んで」  
大村 尚子師による萩原 正吟師の思い出などをお聞きいただけます。

暑気払い! 出囃子集 第1弾 (2010年
今年も暑気払い! 出囃子集 第2弾 (2011年)

皆様 ありがとうございます

地唄FAN管理人です。

一覧表の作成方法に関して、皆様から色々 貴重な案を頂戴し誠に有難うございます。現在あまり時間も無いので沢山は書けませんが、一応下記の様な方針ではどうかなと思います。

1)作曲者別に分類する
2)その中で端歌物や手事物などのジャンルに分類する
3)その中は50音順 或いは 作曲年代順にする
と言う形ですよね。その方向で行くとして、

1)に関して 「管理人 千」様のDBを眺めてみたのですが、作曲者もかなり多くてその提示だけでかなり縦長になってしまいそうなのが懸念材料です。これはまだ1曲もアップしていない作曲者を省くなどで当面改善は出来そうですが、最後はかなり長くなりそうだなと思われることです。

また筝組歌、三味線組歌などはかなり曲数が有るので、曲名だけの提示にしてもかなり膨れ上がりそうだなと思われることです。

あと同一曲でも幾つかの演奏が有り(例えば、新娘道成寺などでは既にこの状態ですが・・・)この表現をどうするかを考える必要が有りそうです。管理人は「演奏者」 や 「演奏スタイル(三曲合奏、三弦本手・替手、三弦独奏など)」に興味を強く持っているので、その辺もどうしようかなと考慮中です。

いずれにしても雛形を一度作って皆様に見ていただく様にしたいなと思います。今日はこの程度ですが、本件に対してもまたご意見を頂戴できれば有り難いです。皆様のご協力に本当に感謝しております。

失礼致します。



ご相談 今後の一覧表の形について

地唄FAN管理人です。

皆様からの積極的なコメント 本当に感謝しています。登録曲の「一覧表」は各曲へのアクセスのために欠かせませんが、その作り方で今後どの様にしたら良いか、あるいは どの様に実現したらよいかに関して迷っております。
分類の仕方として
1.組歌、端歌物、長歌物、手事物・・・などの曲のジャンルによる分類
2.作曲者による分類
3.演奏者による分類
4.そのほか初伝、中伝、奥許しなどの分類
5.その他
が考えられると思います。ここまで皆様の絶大なるご協力で進めてくることが出来ました「地唄FAN」ブログですので、どの方法を採用すれば良いかという事に関しても、皆様のご意見を頂戴できればと思います。

考えて見れば、1~4までの分類はいずれもあり得る訳で、どれか一つにまとめる事も本当は出来ないのではと思います。しかしながら、私のPCの力量ではそれらを簡単に切り替えて使うなどのホームページ作成の知識も有りませんので、実現がなかなか難しいのも事実です。

どなたか「分類に関する考え方」 や 「その実現方法」に関して、アドバイス あるいは ご協力いただける方がおられると有り難いのですが・・・

勝手な事を申しましてスミマセン。

昨今考えて居ることを記載させていただきました。



鶴の声

地唄FAN管理人です。

ありす様からご要望のあった「葵の上」関連が一段落致しましたので、ここからしばらくはraimund様からのご要望の「初心者向けの曲」のご紹介に移っていきたいと思います。
「初心者向けの曲」と言っても考え方は様々有ると思いますが、本日はまず最初として藤井 久仁江師による「鶴の声」をアップ致します。




喜音院様から歌詞・解説を頂戴しましたので、掲載させて頂きます。喜音院様 誠に有り難うございました。


(2010/4/15)
菊原 初子師による演奏を本項目に追加させて頂きます。九州系とはまた違った魅力をお楽しみ下さい。




(2010/4/20)
米川 文子師による演奏を本項目に追加させて頂きます。




(2010/4/28)
菊原 初子師が箏・独奏で演奏されているものを追加致します。




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
 
 Special thanks to 喜音院 様  
                        2010/4/7
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

軒の雨 立ち寄る蔭は難波津や 
葦葺くやどの しめやかに 
語りあかせし可愛いとは 嘘か誠か 
その言の葉に 鶴の一声幾千代までも 
末は互いの共白髪


作曲者:玉岡検校
歌詞大意:夫婦がいつまでも仲良く共に白髪の生えるまで長生きするようにという意味のを唄ったもの。


インターネット上で見つけた歌詞の解説サイトです。こちらはリンクして参照頂くのが良いのではと思いますので、URLを掲載させていただきます。(山戸 朋盟様のHPより)
http://www2u.biglobe.ne.jp/~houmei/kasi/tsuruno_koe.htm


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表