地唄FAN

アクセスカウンタ

zoom RSS 三津山

<<   作成日時 : 2010/08/06 13:02   >>

ナイス ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 19

皆様 毎日暑い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか?

本日は先日の「萩原 正吟師を偲ぶ」で一部お聴き頂いた、「三津山」の全曲をアップ致します。恐らく同一録音による全体像と思います。「三津山」と言う曲を知って頂き、好きになって頂くには最適の演奏でしょう。

先日の「萩原 正吟師を偲ぶ」では演奏者は 唄 大村 尚子師、箏 萩原 正吟師、三絃 堀 正美師と紹介されていました。





ありす様から歌詞などの情報のご提供を頂きました。
この長大な曲を聴くには歌詞の助けは大きいと思いますので、本当に有り難い事と感謝しております。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

  Special thanks to ありす様  

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
[歌詞]
足引きの、大和の国三津山の、昔を語るに、よも古(いにし)へに楢(なら)の葉や、
膳夫(かしわで)の公成(きんなり)といふ人ありけり。
その頃耳成(みみなし)の里に、桂子と申す女あり。
また畝傍(うねび)の里に、桜子といへる優女(ゆうじょ)ありしに、
かの膳夫(かしわで)の公成(きんなり)に、
契りをこめて玉櫛笥(たまくしげ)、二道(ふたみち)かくる蜘蛛(さきがに)の、
いと浅からぬ思ひ夫(づま)、月の夜(よ)雨の夜半(よわ)とても、
心を染めて通ふ神、[合] 住み家も二つの里なれば、
月よ花よと争ひしに、この桜子になびきてぞ、[合] 
耳成(みみなし)の里へは来ざりける。

[手事]

その時桂子恨み侘び、さては我が身も変はる世の、
夢も暫しの桜子に、心を寄せてこなたをば、
忘れ忍(しのぶ)の軒の草、はや離(か)れがれになりぬるは、
もとよりも頼まれぬ、二道なればこのままに、
住み果つべしと思ひきや、[合の手] ただ何事も、
時に従ふ世の慣らひ、ことさら春の頃なれば、
盛りなる桜子に、移る人をば恨むまじ。

[手事]

我は花なき桂子の、我が身を知れば春ながら、
秋にならんも理(ことわり)や。
さるほどに起きもせず、寝もせで夜半(よわ)を明かしては、
春のものとて長雨(ながめ)降る、夕暮れに立ち出でて、
入相(いりあい)もつくづくと、南は香具山、
西は畝傍(うねび)の山に咲く、桜子の里見れば、
さらに他目(よそめ)も花やかに、
羨ましくぞ思ほゆる。
あら恐ろしの山風や、我は畝傍(うねび)の里に住む、
桜子という者なるが、かやうに物に狂ふぞや。
因果の花につき慕ふ、嵐をよけて賜(た)び給へ。

[合の手]


光り散る、月の桂も花ぞかし、
もとより(も)ときあ(な)る春の花、
咲くは僻事(ひがごと)なきものを、
花もの言はずと聞きつるに、
など言の葉を聞かすらん、
春幾何(いくばく)の身にしありて、
影唇を動かすなり。
さて花は散りても、またもや咲かん、
春は年どし、頃は弥生の、雲となり桜子、雲となり桜子、
花は根に帰り、妬(ねた)さも妬し後妻(のちつま)を、
打ち散らし打ち散らす、打てども去らぬは煩悩の、
犬桜花に伏して泣き叫ぶ、悩み乱るる花心、
有明桜光り添ふ、月の桂子一つ夜に、
二道かくる三つの山、争ひ立つや春霞、
天の香具山畝傍山、たなびきそめて耳成(みなし)山、
春の夜みちてほのぼのと、東雲(しののめ)の空となりにけり。


[調弦]
三絃:三下り−本調子−二上り−高三下り−高本調子
箏 :半雲井調子−平調子−中空調子

[作曲] 光崎検校
箏手付:八重崎検校

[作詞] 後楽園四明居(三井次郎右衛門)

[初出] 詞章は天保13(1842)年刊『琴曲新千代の寿』
歌本では京都系:明治3(1870)年の『新うたのはやし』
大阪系:明治13(1880)年版の『歌曲温習考』


手事物。三井高英作詞。天保(1830〜44)ごろ活躍し、純箏曲の復興者として有名な光崎検校(不明〜嘉永6(1853)頃)が作曲。それに名手 八重崎検校(安永5(1776)頃〜嘉永元(1848))が箏手付けをした。三味線は三下がりからすぐに「古(いにしへ)に」で本調子、手事があって中歌で二上り、また手事ががあって後歌で三下りから本調子。箏は半雲井調子、平調子、中空調子と転調。歌詞は地唄としては珍しく物語り風で長い。三津山とは香具山(かぐやま)、耳成山(みみなしやま)、畝傍山(うねびやま)という大和三山のことで、この三つの山が神代に争った事があるという伝説をふまえ、膳夫(拍手:かしわで)の公成(きんなり)という人を、耳成の里の桂子と畝傍の里の桜子という遊女が争うという筋。前半は桂子の恨みから狂乱、後半は桜子の狂乱となる。
手事が二回あり、調子もたびたび変わるが、歌がむずかしくあまり演奏されない。光崎は「五段砧」 「秋風の曲」など箏曲の画期的な作品で知られているが、この様な三味線の大曲も作っている。
(邦楽百科事典、音楽之友社 より)



「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 6
ナイス ナイス ナイス ナイス
驚いた
かわいい

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(19件)

内 容 ニックネーム/日時
この演奏は(まあこれに限らずですが)
じっくり聴きたいので、とりあえず歌詞などを。
コメント最近遅れ気味で申し訳ありません。
ありす
2010/08/06 19:46
しばし絶句しました…。
名演ぞろいのこのブログの中でも、
春昇師による「古道成寺」と双璧だと思います。
まず、大村尚子師の唄のすばらしさ。
美声に加えこの表現力、引き込まれました。
そして唄を支える器楽。
萩原正吟師は箏もすばらしいですね。
九州系ならハネるであろうところを
等拍で弾いていらっしゃるのも興味深かったです。
そして、テンポ。
「古道成寺」に匹敵する強い物語性は、
この演奏がむやみに速いわけではないことを
何よりも歌詞が物語っています。
このテンポは必然ですね。
この作品の真価を初めてわかったかもしれません。

なにか言葉にしようとしてもうまく出来ないです。
おそらく何度も聴くことになる演奏です。
ありす
2010/08/06 22:32
ずっと以前にこの録音を聞いた事があったのですが、久しぶりに聴いてみると、やはりすざまじさに身の震える感じがしますね。
「古道成寺」も確かにすごいですし、後忘れてはならないのが「融」もすごかったです、そしてこの録音。
とても感動しました。

大村先生さすがですね。唄がすごいですね。
これほどの大曲を歌いこなすのはどれだけ大変な事でしょう。私もいつか、この曲をやってみたいと思います。

「三津山」は京都ではとても大切にされている曲です。
でも普通に歌うだけでは長いし、ただ奇麗なだけの曲になってしまいます。唄を通して先生が京流とはこういうものですよ、とおっしゃっているような気がいたします。
(大村先生の「山姥」や「残月」もすざまじいですよ。)

このブログも有名になってしまって、すごいですね〜。
以前のようにダウンロードして電車で聴けなくなってしまったのは少し悲しいですけれど、聴けるだけでも嬉しいと思います。いつもありがとうございます!
なかなか聞く時間がないので、コメントは以前のようにはできませんが、これからも聴かせていただきたいと思います。
藤枝梅安
2010/08/07 23:40
 いや〜…えらい録音があったのですね。
なぜ京都の方々が世に出ないのか不思議でしょうがないですね。
 この作品も素晴らしいです。確かに習得するだけでも難儀でしょうね。

 随所に光崎らしさが感じられてしかも、スケールの大きい曲ですね。恋愛と嫉妬、三角関係というテーマでありながらドロドロせずに非常にロマンチックです。
喜音院
2010/08/08 00:00
地唄FAN管理人です。
地唄CHAN様は「三津山」を練習されたことがあるのですね。凄い!! 私などは聞くほうはそこそこやっているのですが、自分の練習となると・・・確か「楫枕」が最後まで出来たのかどうかがはなはだ怪しい・・・ なにせ30年以上前なので記憶が定かでなくて・・・(情けない)

この「三津山」の演奏に関しても 皆様 色々な感想を持たれて当然と思います。私も「好き」な演奏ではありますが、技術的に「完璧かどうか」はまた別の問題ですから。

それにしても素早いレスポンス 有難うございます。とても有り難いです。ところで地唄CHAN様はこの「地唄FAN」ブログをどの様な経緯でお知りになりましたか?
もしよろしければ 教えていただけるとありがたいです。

一旦ここで失礼致します。

地唄CHAN様 凄いですね!
2010/08/08 21:26
地唄FAN管理人です。

喜音院様にも「三津山」を聞いていただけて良かったです。

喜音院様がおっしゃるように、本当に京都の演奏家の方々ももっと全国的な場に出てきていただきたかったなと思います。現在でも京都のお二人にお聞きすると随分古い曲、珍しい曲も演奏会にあがっているように伺います。とても勿体無い感じがしますねぇ。
喜音院様 有難うございます
2010/08/08 21:30
管理人様へ、今日は一日地唄三昧でした。もちろんこの部屋にも長居しましてね。PCで調べたい邦楽関係のことがあったのでカチャカチャやっていたら、今まで知らなかったこの部屋を発見したのです。宝の山ですね。また来ます。
地唄CHAN
2010/08/08 21:48
今日はラジオで宮城道雄さんの曲が色々やってましたよ。
夏にふさわしい曲ばかり「風鈴」など、きれいですね。

「三津山」って地歌の中では、珍しい感じの曲なんですねえ。物語風?
でも「葵の上」なども語ってませんか?
微妙に違うのでしょうか。
この曲は歌が結構難しいということで、これやる前に「新道成寺」とか色々修行するんですよね。

それにしても長い曲ですね。
歌詞の長いコト長いコト。聴かせようと思ったら曲を構成するのが難しそうだなあと思いました。
大村先生は何なくやってはって、さすがですね。
もっと勉強せねば!

京都は今週は「京の七夕」週間で色々な催しがあります。
16日には「五山の送り火」です、機会があったら皆さんぜひおこしやす〜。(笑)
raimund
2010/08/08 22:10
地唄FAN管理人です。

地唄CHAN様がこのブログを発見された経緯が分かりました。有り難うございます。
このブログも次第に検索エンジンの上位にヒットすることが多くなってきましたので、偶然に見つけて頂く方も増えてきているのでしょう。これも普段から訪れて頂いている方々が積極的にコメントなどして頂いている事が後押しになっているのだと、有り難く思っております。
今後ともよろしくお願い致します。
地唄CHAN様 そうだったのですか
2010/08/09 08:03
地唄FAN管理人です。
raimund様 お久しぶりです。16日の「送り火」へのご招待有り難うございます。でも今週は夏休みなのですが、来週からはまたいつもの生活。テレビのニュースなどで拝見させて頂くしか無いですね。
最近コメントなどを拝見していなかったので、「夏休み?」 「お忙しいのかな?」と思っておりました。実際藤枝様もraimund様もその両方なのでしょうね。
私もマイペースで今後も継続して参りますので、raimund様も無理のない範囲でお聴き頂ければと思います。

「三津山」は長大な曲ですが、演奏者の力なのでしょうか 劇的であっという間に聞き終わってしまう感じがします。この曲も中毒・禁断症状を伴うかも知れませんのでご注意下さい。

よろしくお願い致します。
raimund様 お久しぶりです!!
2010/08/09 08:09
 いや、本当に面白いです。初めて聴いて、何度も聴き返したくなるというのは、私、鈍才であまりないのですが、知らずに聴いてもとても興趣が湧く名演ですね。
 吉沢検校もそうですが、光崎も当時でいえば新派でしょうね。松浦、菊岡のような伝統な面を受け継いだのが、幾山、古川だと思うのですが、吉沢、光崎の傾向を継ぐ人がいなかったのは惜しいですね。

 とにかく大村師の歌唱を聴くと、地歌もこのように歌うべきではないかと思わせられます。美声ですし、張りがあり内容もあり、長唄のような曲でも合うのではないかと思います。
喜音院
2010/08/09 22:49
地唄FAN管理人です。
何回も聴いて頂けたようで有り難うございます。特にこの演奏では楽器の演奏に加えて、大村師の唄の力が印象に残りますね。関西系とも九州系とも異なる特徴が有るように思います。
喜音院様 有り難うございます
2010/08/10 07:46
今年も始まったと思ったら、
なんだか年々時の過ぎるのは早くなるものですね。
まさに光陰矢の如し、です。

新年はやはりこの曲を聴いてから
始めたいと思いましたので、
改めて聞かせていただきました。
最近は光崎作品をよく弾きますけれども、
まだとてもこの曲には挑戦できません。
初音もすばらしいし、夜々の星もいいですし
光崎検校の曲はあか抜けた感じがしていいですよね。

大村先生のお声もやはりすばらしいです。
ああ新ためて新年を迎えた、そんな気がしてきました。
raimund
2011/01/15 01:20
raimund様 今年もよろしくお願いいたします。お元気でお過ごしでしたでしょうか?

年の初めに聴く曲として「三津山」を選ばれた由。きっと萩原師、大村師、堀師もお喜びのことと思います。
年明けからバタバタしておりますので、ブログの更新も若干怠っておりますがご容赦下さい。

なるべく早めに再開するように致します。

お忙しいとは思いますが、またコメントなどよろしくお願いいたします。

藤枝様もお元気でお過ごしでしょうか?



raimund様 有難うございます
2011/01/15 22:50
本当に何べん聞かせていただいても、う〜ん、と落ち込み、且つ勇気づけられる素晴らしい演奏です。きっとどこかで、再現される方が現れると思います。この魅力ですもの。
大村師の歌も心をひきつけます。このような歌い方をする方を、他にも知っていますが、発生を学んでいると覚えているので、先の代では、無いと思い込んでいました。。本当に、才能と、それを生かす努力に頭の下がる思いがします。
大切な資料をこうして公開してくださることに、また、惜しみなく協力される方たちの気持ちに感謝ばかりです。勉強させていただいています。歴史の落とし子の地歌が、新しい時代にも受け入れられ続きますように! 
ふかき
2011/07/16 22:26
地唄FAN管理人です。
ふかき様コメント有難う御座いました。

皆様からのこの様な励ましが何よりの元気回復剤です。確かにこのブログは皆様からの色々な情報を頂戴することで、とても充実してきました。

その方々のご協力に報いる為にも、また再開せねばならないと言う気持ちが強くなって来ました。誠に有り難い事です。

またふかき様が仰るように、地唄を初めてお聴きになる方々にもその良さ、幅広さを知っていただければ幸いだと思います。

本日「薄雪」をアップ致します。長大な曲ですが是非ともお聴き下さい。
ふかき様 コメント有難う御座いました。
2011/07/16 22:50
ふかきさん↑のコメント全くその通りですね。
僕も何度もこのサイトで萩原先生の演奏を聴き、感動と共に自信をなくします。
でもなぜ先生がこんなに早弾き状態なのかは分かりませんが、本来は30分ぐらいかけて弾く曲ですよね。
でも話によると盲人さん同士で合奏すると少しずつ速度が上がって行ってしまうのだそうです。
それに着いて行っている大村先生もスゴい!

最初は何じゃこりゃーと思いましたが、聞くほどに味わい深い演奏です。なおこのサイトの御山獅子(荻原正吟、富山清琴)もすごいですよね。残念ながら萩原先生の歌は最初の部分だけですけども。

P.S.
管理人さんがどのような初心者向きの曲ですかとおっしゃってましたが、初心者向きというより聞きやすい曲ですかねえ。
しばらく繁太夫物などが続いていますので、同じジャンルが続きますと、コメントが似たような物になって書きにくいので、未掲載の手事物や段物など織り交ぜていただけるとありがたいと思います。それでは失礼します!
raimund
2011/07/18 18:55
今朝も誰にも知られないように、そおっと音楽事典の中に忍びこんで、ごそごそ調べ物をしていたら、「ふかきさ〜ん」と呼ぶ声がしました。知っている人はいないはず、、、
盲人の方は、速いです。というか、いくらでも速く弾けます。私は、ある盲人の先生に、20年程前に何度かご指導を仰いだことがありました。
突っ走り屋の私はずいぶん面白がられました。しかし、音色、リズム感、曲想、プラスα、すべてで、ノックダウンでした。
この演奏では、○分○秒ですね、とか、窓の外に聞こえた物音が何ヘルツだとか、などのゲームには、とても参加不可でした。
教わってきたこと、自分で会得したこと、相方さんとのせめぎ合いで、演奏は決まるのだと思います。それは、聞いた通りです。

私の、コメントって、なんか、お見当違い?私は、どこにいるのかしら?適当に割愛してください。管理人様!
ふかき
2011/07/20 20:10
いつもお世話になっています。
本サイトで勉強させて頂いています。
色んな演奏があり、聞き比べるのも非常に勉強になります。
お願いです。
明治松竹梅はないでしょうか。
よろしくお願い致します。
悦子
2012/05/03 21:28

コメントする help

ニックネーム
本 文
三津山 地唄FAN/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる