地唄FAN

アクセスカウンタ

zoom RSS 石橋

<<   作成日時 : 2009/06/28 08:53   >>

ナイス ブログ気持玉 13 / トラックバック 0 / コメント 10

前回ご案内致しましたとおり、新たに「石橋」をアップ致します。

富山 清琴師の演奏による物です。
今はなかなかこの様な曲そのものの演奏を聴くことが出来なくなりました。
地唄の「唄」部分をこれだけの力で歌いきる実力者が少なくなったことも原因ですが,三弦主体の曲調では今の時代 一般受けしないことも有るでしょう。

それとこの様な大きな曲になると、聴く機会が少なく 覚えている人が少ないので演奏を「楽しむ」レベルで聴ける人が少なくなってきたからかもしれません。

もう20年近くも聴かないで過ごしてきた自分ですが、聴き始めると昔一生懸命聴いたことが懐かしく思い出されます。
これも非常な名演と思います。是非覚えるまで聴いて楽しんでみて下さい。
唄・三絃 富山 清琴師
箏 富山 美恵子師
による演奏です。


03B02

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
  Special thanks to 管理人 千 様  
    (邦楽データベース → 古典データベース) 

          http://www.eonet.ne.jp/~tngk/deta/koten/frame.html

                            (ご紹介者:藤枝 梅安様)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

石橋(しゃっきょう)


  我も迷ふやさまざまに、四季折り折りの戯れに。

  蝶よ胡蝶よ、せめて暫(しば)しは手に止(とま)れ。

  見返(かへ)れば、花の木(こ)蔭に見えつ隠れつ羽(は)を休め、
  姿優しき夏木立(こだち)、心尽(づく)しの、此年(このとし)月を、
  いつか思ひの晴るるやと、心一つに諦めて。

  よしや世の中、短夜(みぢかよ)に、夢はあやなし其移り香を
  憎(にく)くて手(た)折ろか、主(ぬし)なき花を、何(なん)の、さらさらさら、
  さら更(さら)に、さらに恋は曲(くせ)物。露(つゆ)しののめの、
  草葉に靡く青柳の、いとしほらしく、
  二つの獅子の身を撫でて、頭(かしら)うあなだれ、
  耳を伏せ、花に宿(やど)借る、浮世のあらし。彼方へ誘ひ、
  此方(こなた)へ寄りつ、園の胡蝶に戯(たはむ)れ遊ぶ、
  己(おの)が友呼(よ)ぶ獅子のこま。

花に寄るてふ連(つれ)だちて、追ひめぐり下(お)りつ、上(あが)りつ、
傍(そば)へ揚羽(あげは)のしほらしや。

  追ひめぐり、下りつ、上りつ、傍へ揚羽のしほらしや。

  面白や。時しも今は牡丹の、花の、咲きみだれて、
  散るは散るは、散り来るは、散るは散るは散りくるは、
  散れ散れ散りかかく様で、おいとしうて寝られぬ。

  花見て戻(もど)る。花には憂さをも打ち忘れ。

  人目忍べば。恨みはせまい。為に沈みし恋の渕(ふち)。

  心からなる身の憂(う)さを。やんれ、それはそれは。

  誠や辛や、花に胡蝶の来連れて。心からなる身の憂さを。

  やんれ、それは。誠(まこと)辛や、花に胡蝶の来つれてつれて、
  曲物(くせもの)曲物、寄るべ、寄る辺や波の。立つ名もままよ。

  口説(くど)けど君はつれなさよ。それ。それじや真(まこと)にさ。

  思ひまはせば昔なり。牡丹に戯れ獅子の曲、
  実(げ)に石橋の有様。笙歌の花降り、蕭(せう)、笛(ちやく)、琴、箜篌(くご)。
  夕日の雲に聞ゆべし。目前の奇特あらたなり。

  暫く待(また)せ給へや、影向(えいかう)の時節も、今幾ほどによも過ぎじ。
  獅子、団乱旋(とらでん)の舞楽のみぎん。獅子、団乱旋の舞楽のみぎん、
  牡丹の花房(ぶさ)匂ひ満ちみち、大きんりきん獅子頭(がしら)打てや囃せや
  牡丹芳(はう)々、牡丹芳々黄金(こんきん)のずゐ現れて、花に戯れ、
  枝に臥(ふ)し転(まろ)び、実にも上なき獅子王(わう)の勢(いきはひ)、
  靡かぬ草木もなき時なれや、万歳千秋と舞ひ納め、
  万歳千秋と舞ひ納め。獅子の座にこそ直(なほ)りけれ。


蝶が花に遊び戯れ迷うのを見ていると、自分も恋に迷うのである。
様々の四季の季節につれての戯れに、蝶よ、せめても暫く手に止って休みなさい。
見返れば、花の木蔭に見えつ隠れつ羽を休め、姿の優しい新緑の木立の中で、木をもませるこの年月を、いつか物思いが晴れるかと、すっかり諦めて、例え世の中は短夜のように短くても、夢はわけがわからないが、見た夢の中で、愛人のたき物が私の衣に移った香りが憎らしくて、手で折ってしまおうか。主のない花のような愛人を。
なんの更に更に恋と言うものは悪いものよ、不思議なものよ。
明け方の露は草葉に宿って艶っぽく、靡く青柳のようになよなよと、しおらしく二匹の獅子の身を撫でて、頭をたれ、耳を伏せて、花に宿を借りる。
常なく変りやすい世のあらしはあちらへ誘われ、こちらへ誘われ、園の蝶に戯れて遊ぶ。
自分の友を呼ぶ獅子の狛犬は花に集る蝶と連れ立って、互いに追いかけまわって、下ったり、上ったりして、傍にあげるアゲハチョウのしおらしいことよ。面白いことよ。
そのとき丁度、今は牡丹の花盛り、咲き乱れて散るは散るは散り来るは、散りかかるようにしなだれる様子は愛らしく、慕われて夜も寝られない。
花を見て戻る。花を見れば辛さも忘れ、人目をさければ人の恨みもあるまい。
愛人の為に沈んだ恋の深い渕、心の底から私の身の辛い思いを思うと、やれ、それはそれは本当につらいことであるよ。
花に蝶がうち群れてやってくる。そのように来る曲者、その曲者もよるところがない。
波が立つ様に評判が立とうが勝手にしろ。口説いても君はつれなくされるよ、それじゃ本当に思えばそれは昔のことであるよ。
牡丹に戯れる獅子の曲、それ本当に支那の天台山にある石橋の有様は、空から笙歌の音が響き、花が降って来て、蕭、笛、琴、箜篌の音は夕日の雲に聞こえるであろう。
目前の霊験は著しく現れる、暫く待ちなさい。
仏の現れる時も、この瑞祥にいくらも異なることはない。
獅子や団乱旋の舞楽の演じられるみぎりは、牡丹の花房の匂いが満ち満ちて、大巾、利巾の獅子頭よ打てや囃せや。
牡丹の花の芳い香りは馥郁として黄金の花のずいなる瑞祥が現れて、花に戯れ、枝に臥し転び、本当にこの上ない獅子王の勢いに靡かない草木のないときであるよ。
万才千秋いつまでも栄えよと、舞い納めて、仏の座におさまるのであるよ。

解説
[調弦]
三絃:三下り

[作曲]
芳沢金七・若村藤四郎

[作詞]
初世瀬川路考

[他]
三下り芝居歌。謡物。
正徳・享保期の成立とされる『古今端歌大全』に詞章収録。
この曲の途中を省略したものを『番獅子』と称したらしいが、両者を混同した結果、別題を『番獅子』ともいう。
謡曲『石橋』を原拠とする京阪の歌舞伎芝居の舞踊曲を取り入れたもの。
詞章的には『相生獅子』に近いところもあるが全体的には『執着獅子』と一致するところが多い。
三下りの替手や平調子の箏を加える演奏もあるが、京都と大阪で編曲に異同があり、大阪系では前半の「短夜の・・・恋は曲者」の部分に菊原琴治による補作がある。
最後のほうの「獅子団乱旋の舞楽のみぎり・・・」の直前の手事は三段からなり、獅子の狂いや髪洗いの所作を表す。


「地唄FAN」は地唄の音楽事典としてお使い頂くことを目指してます。
以下から一覧表をご参照下さい。

作曲者別一覧表      五十音順一覧表      演奏者別一覧表



月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 13
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
近頃思うことです。放送でもCDでも 地歌や筝曲一筋・地歌筝曲が着物を着ているとでもいうような方がいなくなってしまったのではないでしょうか? 
最近の演奏家は、間違ってはいないのだけれど当たり障りのない演奏(でもそれではつまらない)だったり、音程がズレまくっていても平気だったり… あ〜良い演奏だったと思えることが少なくなりました。
複雑な現代に生きる我々は、先人のような修行をする事もなく よって鍛えられる機会もないからでしょう。
昨日、茂山狂言を見てきましたが、齢九十という人間国宝千作翁のお芸の、演じているというよりも役そのものと思えてくるそのお姿を拝見出来て良かったと 見る度嬉しく思えます。
私は 先代の富山清琴さんの演奏に同じ感覚を覚えます。安心して楽しませてもらえます。お連れのお筝と共に良〜い演奏ですね。
みゅうみゅう
2009/06/29 21:19
みゅうみゅう様

コメント有り難うございます。

おっしゃるとおり この「石橋」はかなり良い演奏だと思います。恐らくこの当時の演奏では奥様との合奏だろうと思いますが、相変わらず当時の情報がはっきり分かりませんので、大変申し訳ないことです。

またここに来られて、何か感じることがありましたら、是非コメントを書き込んで下さい。私も聴いて下さっている方がいらっしゃると言うことがとても励みになります。よろしくお願いします。

地唄FAN管理人
2009/06/30 08:27
拝聴いたしました。

理解できないのが口惜しいので、三度聴き、
三度目でやっと入り口に入ったような気がします。

面白い曲ですね。

花に胡蝶と戯れるうちに、花を恋しい相手に見立てて、中ほどは恋の歌になる、いかにも芝居歌物らしい、そして近世らしい詞章ですね。

作曲も変化に富んでますね。「人目忍べば」からでしょうか、本当に恋の歌になってしまうのですね。

「獅子団乱旋」から、長唄の方だとこの詞章は勢いある作曲が多いと思うのですが、地唄「石橋」は音楽的に凝っているので厳粛な雰囲気がありますね。

筝の旋律が面白い所があるなと思ったら、こういう記事を発見しました。

http://members.jcom.home.ne.jp/wj2m-nrmt/page18.htm
喜音院
2009/06/30 23:21
喜音院様

管理人です。3回も聴いて頂けたとは有り難いです。「やっと入り口」などと謙遜されておられますが、聴く力のある喜音院様のことですからきっと楽しんで頂けたことと思います。

ご紹介頂いた記事も後からじっくりと読ませて頂きます。有り難うございました。

地唄FAN管理人
2009/07/01 12:30
はじめてメッセージさせていただきました。
地唄の方は習い始めて2年ほどなので、
あまり詳しくないのですが、楽しく聞かせていただきました。今ちょうど『石橋』をお稽古させていただいいるのでとても勉強になります。ダウンロードして数えきれないくらい聞きました!

地唄箏曲はCDなどであまりなくて、しかもあっても
セットで高級なので手が出ません。
このブログの曲はすてきな演奏ばかりなので、
僕ももっとがんばらなくては(>-<;)、と聞くたびに思う毎日です。

『船の夢』もいい曲ですね。
『石橋』のお稽古が済んだら、次に習ってみたいなと思いました。

これからもいろんな曲を聴かせてください。
できればですけど。
raimund
2010/03/07 00:26
raimund様へ

管理人です。コメント有り難うございます。少し興奮気味です。新しく書き込みして下さる方がいらっしゃるととても嬉しく思います。

なぜ興奮気味かと申しますとこのブログ自体が元々「地唄・箏曲を初めてまだ日が浅いけれど、昔の名人の演奏を聴きたい。しかし機会が無いので・・・」と思っておられる方に聞いて頂ければと思って始めたものですから
raimund様の様な方に聞いて頂けると尚更嬉しく思えるのです。

それにしても2年目で「石橋」をお稽古されているとは素晴らしいですね。大昔のことになりますが、私などは何年やっても「石橋」などにはたどり着くことなど思いもよりませんでした。この手の大曲は鑑賞の対象ではありましたが、自分で弾くことなどあまり想像したこともありませんでしたから。

それと「石橋」「舟の夢」などをお持ちの先生に習っておられることも羨ましい限りです。是非とも頑張って下さい。

もし身の回りにraimund様と同じ様に興味を持っておられる方がいらっしゃったら、是非ともこのブログを勧めて頂けると幸いです。このブログには 喜音院様 や 最近書き込みをされた ありす様 の様に詳しい方もおられますが、まだ地唄・箏曲を初めて日の浅い方にも聴いて貰えればとても嬉しく思います。

raimund様の仰るように確かに地唄・箏曲のCDは現在はあまり多く市販されていません。以前出ていた物も廃盤になりなかなか手に入らないのが現状です。私自身もさらに先輩から聞かせて頂いた物を保有しておりますが、その大半は現在は聞くことが出来ない物だと思います。今回raimund様に「これからもいろんな曲を聴かせて欲しい」とご希望を頂きましたので、近いうちにまた曲目の追加をしていきたいと思います。

有り難うございました。
これからもよろしくお願いします。
地唄FAN管理人
2010/03/07 08:48
能の『石橋』を聴いたので、
久しぶりに地歌のほうも聴いてみました。
なるほど、謡曲が元とはいえ、
芝居唄の系統なのですね。

なぜ獅子、かと思いましたが、
能の『石橋』のクライマックスが
獅子の出現ですので、
ああ、これで繋がるんだな、って
やっとわかりました。

そして、これは手事物の
最初期に多かった「獅子物」の系譜にも
繋がるわけで、やっと
私の頭の中でこれら繋がりました。
なかなか横のつながりを理解するのって
難しいですね…。

それにしても、喜音院さんご紹介のページ、
面白いですね、地方ごとの
伝承の違いってこういう風に
現れるんだなあ、と、
興味深く拝読しました。
ありす
2010/10/12 00:02
“石橋”が、舞踊曲から取り入れられた、というのは、知りませんでした。逆だと思っていましたので。(たいていは、能(謡曲)→地唄→長唄などの、舞踊曲というコースだと・・・)
長唄の“執着獅子”は、華やかで繊細ですが、地唄の“石橋”は、かなり骨太な印象ですね。
それにしても、富山清琴師の声は、ほんとうに、凄い。。。
地唄、というと、素人は、「女心を切々と歌う。。。」曲か、「笑顔」のようなコミカルな曲がほとんど、と思っていたので、こういう曲がある、と知っただけで、びっくり。。。
でも、なんだか幸せな気分になります(笑)

それにしても、こんな大曲。。。ほんとうに、なかなか聴けないもの、でしょうね。これも、“凄い” 演奏ですね。
凄い、しか言葉がありません。。。
happydance♪
2010/10/20 08:27
happydance様 コメント有り難うございました。地唄FAN管理人です。

「石橋」も聞いて頂けたのですね。「融」に続いてですから大曲ばかりでさぞお疲れのことと思います。これからも是非臆せずに気軽にコメントして下さいね。コメント欄に昔の掲載曲に関する記載が載ると、それをきっかけに新たに「聞いてみようか?」と思われる方も出てくるでしょうからとても有り難いです。

確かに詳しい方も多いですから「私などが書き込んで良いのかしら?」と思われるかも知れませんが、ほとんどの方は地唄の古典は初めてという方でしょうから、色々な方が気軽にコメントして頂けるのが全体の活性化にもつながって良いのではと思います。

今後ともよろしくお願い致します。

happydance様 有り難うございま...
2010/10/20 12:45
初めての曲です。琴古流の尺八をやりますが,石橋の楽譜はありません。
mynagao
2012/11/05 22:02

コメントする help

ニックネーム
本 文
石橋 地唄FAN/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる